2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規光増感剤ポルフィリン誘導体によるDNA損傷機構の解明と光線力学療法への応用
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18015024
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
川西 正祐 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 伸二 三重大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (10277006)
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Keywords | 光線力学療法 / 光増感剤 / 発がん / DNA損傷 / ポルフィリン / 一重項酸素 / 8-ニトログアニン / バイオマーカー |
Research Abstract |
光線力学療法(PDT)は、腫瘍組織に集積した光増感剤が励起光照射により活性酸素生成などを介してがん細胞死を引き起こす新しいがん治療法である。PDTは生体への侵襲が少なく、高齢者など全身麻酔が安全にかけられない患者に有効である。ポルフィリン類は腫瘍細胞に選択的に取り込まれることから、正常組織に対する毒性を抑えて治療することが可能となる。 本年度は、前骨髄性白血病細胞HL-60における各種ポルフィリン誘導体(ポリカチオンポルフィリン誘導体TMPyP、内因性プロトポルフィリン(PP)、デルタアミノレブリン酸(ALA))のDNA損傷性とその活性種、アポトーシス誘導能、核への集積性等の検討を行った。その結果、TMPyPは実際に臨床応用されているALAよりも低濃度でHL-60細胞にアポトーシスを引き起こした。ALAは生体内でPPに代謝されることからTMPyPとPPにおける細胞膜透過性を検討した結果、等張性の緩衝液を用いた時はPPと同程度の細胞膜透過性を示した。また、TMPyPは核への集積性を示したが、ALAおよびPPについては核への集積性は認められなかった。さらに、ヒト癌関連遺伝子のDNA断片を^<32>Pでラベル化し、ポルフィリン類のDNA損傷性を検討した結果、UVA照射下においてTMPyPはPPに比べ低濃度で非常に効率よく全てのグアニン残基を損傷した。電子スピン共鳴装置を用いた結果から、一重項酸素の生成が示唆された。これらの結果から、TMPyPは一重項酸素を生成し、HL-60細胞にアポトーシスを引き起こすことが明らかになった。また、光照射によるがん細胞のアポトーシスにNitric Oxideが関与していることが報告されているので、我々が開発した炎症関連発がんの新規バイオマーカー、8-ニトログアニンの生成についても解析を行っている。
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