2006 Fiscal Year Annual Research Report
がんの放射線-化学併用療法を指向した放射線活性化型プロドラッグの開発
Project/Area Number |
18015030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田邊 一仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (40346086)
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Keywords | 放射線 / プロドラッグ / 人工核酸 / ケージド化合物 / 抗がん剤 / アンチセンス |
Research Abstract |
本申請研究では、放射線照射をトリガーとして活性を発現するプロドラッグの開発を進めている。従来までの研究過程で得た放射線照射により除去される置換基を利用して各種抗がん剤をプロドラッグ化するとともに、DNAに上記置換基を導入し、放射線照射により機能する人工核酸の構築を試みた。 以下にその詳細を示す。 1 放射線照射により活性を発現するシタラビンプロドラッグ 急性白血病や消化器癌等に抗がん効果を示す核酸誘導体のシタラビンのプロドラッグ化を試みた。塩基部N4位に放射線分解型置換基2-オキソプロピル基を導入したプロドラッグ(Oxo-Cyt)を合成し、放射線照射下における反応特性を調べた。その結果、Oxo-Cytは放射線照射下で速やかに活性化され、元の抗がん剤シタラビンを再生することを見出した。また、一連の活性化反応は低酸素条件で選択的に進行したことから、がん組織で特徴的に形成される低酸素細胞で薬効を発現することが期待される。細胞や動物を使った今後の応用研究が課題である。 2 放射線照射により機能化されるケージドDNA 放射線照射をトリガーとして二重鎖形成を制御する人工DNAの開発を試みた。チミジンのN3位に上述の2-オキソアルキル基を導入すれば、二重鎖形成が抑制される一方、この人工DNAに放射線を照射した場合、正常構造のチミジンが再生して二重鎖形成能が回復すると考えた。実際に人工DNAを合成し、放射線照射した結果、無置換DNAを再生し、相補的なDNAと二重鎖を形成することを確認した。続いて、核酸切断活性をもつDNAオリゴマー(DNAzyme)に本システムを応用し、放射線活性化型のDNAzymeを合成した。修飾チミジンをもつDNAzymeそのものは切断活性を示さないものの、放射線照射によって標的配列切断機能を発現した。
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