2006 Fiscal Year Annual Research Report
リポソーム化ビスフォスフォネートによる血管新生を介したがん治療戦略
Project/Area Number |
18015038
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野 眞弓 九州大学, 医学研究院医化学分野, 講師 (80128347)
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Keywords | がん / 血管新生 / 炎症 / マクロファージ / サイトカイン / IL-1 |
Research Abstract |
がんの増大や浸潤/転移にがん間質での炎症反応や血管新生の誘導が関与していることに注目し研究をすすめてきた。特に腫瘍関連マクロファージ(TAM)やがん細胞におけるCOX2、NF-κBの活性化が重要な役割を担っていることを明らかにしつつある。我々はマクロファージ標的薬剤であるリポソーム化ビスフォスフォネートはマウス角膜における炎症性サイトカイン(IL-1)誘導による血管新生を抑制することを過去に報告している。本研究ではリポソーム化ビスフォスフォネートが炎症性サイトカイン(IL-1)誘導による腫瘍の増大を抑制し、その腫瘍は血管密度とマクロファージ数の減少およびCOX2やNF-κBの活性化を伴っていることを観察している。またCOX2阻害剤やNF-κB阻害も、腫瘍の増大を抑制する。IL-1はマクロファージ細胞においてin vitroの系で血管新生促進因子であるVEGF, IL-8,またマクロファージ細胞走化因子であるMCP-1およびMMP-9の発現を亢進することも明らかにした。 以上炎症性サイトカイン(IL-1)はがん細胞やマクロファージ細胞においてNF-κBを活性化することにより、血管新生促進因子やマクロファージ活性化因子の産生を亢進する。またCOX2を活性化は下流のプロスタノイドの発現を亢進し血管新生促進因子の産生を亢進することが推察される。これらの研究はがんの進展において炎症およびマクロファージ浸潤が重要な役割を担っていることを示している。従って、腫瘍関連マクロファージ、COX2, NF-κBはがん治療の標的となりうることが示唆される。
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Research Products
(10 results)