2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規クロマチンインシュレータを搭載した遺伝子治療ベクターの開発
Project/Area Number |
18015044
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
久米 晃啓 Jichi Medical University, 医学部, 准教授 (10264293)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / ゲノム / 移植・再生医療 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
クロマチンインシュレータは、近傍遺伝子に対する干渉を防ぐとともに、ヘテロクロマチン化を阻止して当該遺伝子の発現を安定化するシスエレメントである。標的細胞に導入した治療用遺伝子の発現維持と、ベクター挿入変異・発癌リスクの低減を目的として、ヒト19番染色体長腕末端部近く(AAVS1領域)のインシュレータ利用を試みた。(1)部位特異的組み込みによるインシュレータ利用:アデノ随伴ウイルスのRep蛋白はAAVS1領域にゲノムを組み込む働きをもつが、この領域には癌関連遺伝子がなく安全であり、しかもインシュレータ配列を有するため治療用遺伝子を組み込むのに好適である。間質幹細胞株UEET1へのヒト凝固第IX因子遺伝子導入に際して一過性にRepを働かせ、一定の頻度(6/58)でAAVS1領域への組み込みがみられたが、第IX因子発現は長続きしなかった。AAVS1領域への遺伝子組み込みに伴って大半のクローンでインシュレータ配列が破壊され、プロモータのCpG配列が広範にメチル化されていたことが原因と考えられた。単純にRepを用いてAAVS1領域に遺伝子を組み込むアプローチには限界がある。(2)インスレータ搭載ベクター:AAVS1インシュレータをGFP発現カセットの両端にそれぞれ向きを変えて配置し、インシュレータなしと合わせて5種類のレトロウイルスベクターを構築した。夫々のコンストラクトで遺伝子導入したK562白血病細胞クローンを樹立後、GFP発現の推移を1年以上観察した。インスレータなし(3/11)に比べ、インスレータで挟むと中等度以上の発現を維持する率は向上し、インスレータの向きによる違いも見られた(5/11、4/10、9/11、5/10)。5'テロメア側-3'セントロメア側の向きをもつインシュレータで前後を挟んだものが最も成績が良く、さらに改良を加えれば実用性が向上すると考えられる。
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Research Products
(5 results)