2006 Fiscal Year Annual Research Report
微小転移を標的とした新しい胃癌・大腸癌の再発予防戦略の構築
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18015052
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
中西 速夫 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 室長 (20207830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 誠二 愛知県がんセンター, 中央病院消化器外科, 医長 (50393129)
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Keywords | 胃癌 / 腹膜転移 / 微小転移 / 定量R-PCR / Microarray / VEGF-A抗体 / Drug delivery system(DDS) / CEA |
Research Abstract |
胃がん患者の生存率を大幅に改善するためには腹膜再発を予防することが最も重要である。腹膜再発予防のための新しい診断・治療戦略の構築をめざして今年度は以下の諸点を明らかにした。1)腹腔洗浄液中CEA qRT-PCR法陽性症例36例に対し、経口抗がん剤(TS-1)による治療を行う臨床第2相試験を実施、2年間のfollow upを行いつつある。これまでの結果では、qRT-PCR法陽性の治療群では無治療群に比し腹膜再発の減少が境界有意で認められているが、生存に関して有意差は認められず、TS-1単剤では腹膜再発阻止に不十分である可能性が示唆された。2)遺伝子診断法の迅速性・診断精度の改善としてCEA mRNAを直接増幅するTRC法を用いた迅速遺伝子診断法の測定体制を確立した。また遺伝子診断のさらなる感度・特異性の改善をめざしてMicroarrayを用いた網羅的解析を行い、CEAを補完でき、これまでに報告のない新規遺伝子マーカーを2個以上同定した。さらに数100個程度の遺伝子を組み合わせてバイオインフォマチックス(学習機械システム)により腹膜再発を予測する診断用DNAチップの開発のため遺伝子の絞り込みを進めている。3)新規治療法の開発では,a)血管新生阻害剤(VEGF-A抗体、Bevacizumab)を用いて化学療法との併用効果を腹膜微小転移モデルで検討した。Bevacizumabは単独で有意な腹膜転移縮小効果、腹水貯留抑制効果と生存延長効果(治癒なし)を認めたが,化学療法(PTX)との併用では化学療法単独に比べ、治癒率の改善は認められなかった。VEGF-A抗体のみでは微小転移巣におけるAngiogenesis switchをオフにするには不十分で、他の因子が必要である可能性が示唆された。b)マンノース被覆リポゾームに5-FUを封入して初発転移巣である大網乳斑に特異的に5-FUを送達させること、磁性微粒子を用いた温熱効果(39℃)により転移局所での5-FUのリボゾームからのリリースに成功した。腹膜微小転移モデルを用いて本DDSの抗腫瘍効果を検討し、5-FUの直接腹腔内投与法の1/100量以下で有意な転移抑制効果を有することを明らかにした。
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