2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変間葉系幹細胞を用いたがんに対する新しい細胞治療戦略
Project/Area Number |
18015054
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
水口 裕之 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤研究部・遺伝子導入制御プロジェクト, プロジェクトリーダー (50311387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 健二 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤研究部・遺伝子導入制御プロジェクト, 主任研究員 (50356234)
櫻井 文教 独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤研究部・遺伝子導入制御プロジェクト, 研究員 (70370939)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 癌 / 細胞治療 / DDS / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / サイトカイン |
Research Abstract |
間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells ; MSC)は成体骨髄に存在し、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞等、多彩な細胞に分化できること、患者本人から細胞の調製が可能であり倫理的問題が少ないこと、細胞をin vitroで容易に増幅可能であることから、細胞治療や遺伝子治療への利用が期待されている。また、MSCは腫瘍組織への遊走能を有し、腫瘍間質細胞へと分化することが報告されている。即ち、MSCは本来的に腫瘍組織への集積性を示すことから、腫瘍へのターゲティングキャリアとして利用できると考えられる。そこで、B16BL6メラノーマ肺転移モデルに対し、サイトカイン遺伝子を導入したMSCを用いて腫瘍局所にサイトカインを産生させることで、治療効果が得られるか否かを検討した。本年度は以下の結果を得た。(1)研究代表者らが開発済みの各種改変型アデノウイルス(Ad)ベクターであるファイバーノブにRGDペプチドやポリリジンペプチドを付与したAdベクター(RGD型およびK7型Adベクター)を使用し、マウス骨髄由来MSCへの遺伝子導入効率の改善が可能かどうかについて検討した。その結果、従来型AdベクターでのMSCへの遺伝子導入効率は、6%程度だったが、K7型Adベクターでは約70%の細胞において外来遺伝子の発現がみられた。(2)IL-12もしくはTNF-α遺伝子を発現するAdベクターを作用させたMSCをマウスに尾静脈内投与し、B16肺転移に及ぼす影響を検討したところ、治療群での肺での結節数はネガティブコントロール群と比較して約1/3〜1/5に減少しており、抗腫瘍効果が観察された。(3)遺伝子導入能の更なる向上を目的に、新規AdベクターとしてHIV由来のTATペプチドをファイバー領域に付与したベクターを開発した。今後は、治療効果の最適化や抗腫瘍効果のメカニズム解明等の検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)