2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンドリブン・ミュータジェネシス法を用いたカルシニューリン関連遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
18016012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮川 剛 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10301780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高雄 啓三 京都大学, 医学研究科, 助手 (80420397)
遠山 桂子 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興) (20378722)
権藤 洋一 独立行政法人理化学研究所, 個体遺伝情報研究チーム, プロジェクト副リーダー (40225678)
若菜 茂晴 独立行政法人理化学研究所, 動物ゲノム変異開発研究チーム, チームリーダー (90192434)
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Keywords | 遺伝子 / 行動学 / ゲノム / 脳・神経 |
Research Abstract |
研究代表者は、カルシニューリン(CN)の前脳特異的欠損マウスが顕著な作業記憶、注意、社会的行動の障害などを含む統合失調症様の行動異常を示すこと(Miyakawa et al., 2003)と、統合失調症患者のDNAサンプルを用いた相関解析によりCNの遺伝子が統合失調症と強く相関していることを報告した(Gerber et al., 2003)。CNを介した複数の信号伝達経路・機能はすでに極めて詳細に知られているが、そのうちどの経路・機能が統合失調症の発症要因として重要な役割を果たしているのかはわかっていない。 本研究では、理化学研究所ゲノムサイエンスセンターでENUミュータジェネシスプロジェクトにより作製された変異マウスの中から、高速高精度に点突然変異を検出する手法を用いて、CNが関与する各信号伝達経路の中で重要な役割を果たす遺伝子の変異マウスをできるだけ多種類得る。得られた系統のマウスを交配・繁殖させて、行動実験に必要な数をそろえたのち網羅的行動テストバッテリーにかけ表現型解析を行う。施設としては、研究を立ち上げてから3年半のうちに9割以上の行動テストを自動化し、すでに、50以上の共同研究を行い、64系統約3500匹を行動解析しており、世界的にもこれだけのスループットで網羅的行動テストバッテリーを実現している例はほかにないと思われる。 18年度は研究分担者(若菜・権藤)が理研プロジェクトとして構築・整備した総数3千万点突然変異からなる1万個体分の「変異マウスライブラリー」とその高速変異発見システムを用いて、スクリーニング用プライマーセット約60組について、網羅的に探索することに着手した。現在まで目的のENU変異マウスを入手するに至ってはいないが、別の手法で作製されたCN関連遺伝子のノックアウトマウスをもちいた行動解析では、CNマウスと同方向の表現型(=統合失調症様の表現型)が多数見られており、脳での遺伝子機能の最終出力レベルである「行動」で表現型を同定することを起点として遺伝子の機能解析をすすめるという、本研究の戦略が成功していることを示している。
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Research Products
(3 results)