2006 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の胚発生致死温度感受性変異株の網羅的単離とそのデータベース構築
Project/Area Number |
18016015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 邦明 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員 (70311305)
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Keywords | 線虫 / 胚発生 / 変異株 / データベース / ゲノム / 生命システム |
Research Abstract |
多細胞生物体が構築されるためには受精卵がプログラム通りの細胞分裂、細胞分化、形態形成等を行なう必要があるが、プログラムを構成する遺伝子ネットワークは複雑なため、単純な遺伝子破壊法による解析だけでは、発生プログラムの理解はむずかしい。我々は温度感受性変異株の特性を利用して、多細胞体の構築という複雑な生命現象における遺伝子ネットワークの解明に取り組む。そのため、線虫の温度感受性胚発生変異株を網羅的に取得し、この温度感受性変異株ライブラリーのデータペースを構築している。 平成18年度は、変異株ライブラリーのできる限り多くの変異株について表現型の解析および遺伝子マッピングを行い、データベース構築のための基礎情報を取得した。まず、温度感受性変異株の遺伝子クローニングのための環境を整備するため、SNP解析のためのプライマーを線虫のゲノム全領域で設定した。このSNP解析を用いて、これまでのところ、温度感受性変異株24株(16遺伝子)について遺伝子クローニングに成功している。一例を挙げると、細胞分裂異常を示す変異株としては、let-99、cathepsin L、vacuolar protein sorting 33A(vps33A)分子がクローニングされている。特に、vps33AはヒトのHermansky-Pudlak Syndromの原因遺伝子として報告されているものであり、興味深い遺伝子である。 以上に示すように、クローニングされた温度感受性変異株には多くは新規の変異株、温度感受性変異株として初めてのものを含んでおり、この温度感受性変異株ライブラリーは有効に機能することが確認された。また、変異株の原因遺伝子のほとんどはヒトと高い相同性を示す分子であり、疾病や生物に共通した生命現象に関する有効な解析系を提供すると考えられた。
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Research Products
(2 results)