2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の形状変化と分子シグナルとの多次元相互作用に関する研究
Project/Area Number |
18016021
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 信 Nara Institute of Science and Technology, 情報学研究科, 教授 (90294280)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 岳史 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60362604)
作村 勇一 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (50324968)
|
Keywords | システム生物学 / 分子生物学 / 形態形成 / 統計解析 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
分子量Gタンパク質の相互作用に関する生化学反応と、細胞骨格系タンパク質が生み出す細胞運動との関係に注目することによって、分子群が作り出すシステムとしての生命の理解を目指す。この目的のために、細胞形態の定量化手法の解析と形態変化の分子メカニズムに関する研究を推進した。 【細胞形態の追跡アルゴリズム開発】 本研究では、細胞形状を正確に定量化することが重要である。そこで、顕微鏡タイムラプス画像のフレーム間で変化のある部分だけに焦点を置くアルゴリズムを開発した。以上のアルゴリズムによって得られる細胞エッジの動きとその近辺の分子活性のプロファイルから、時間差を含めて相関係数を求めると、特にCdc42とRacについて、相関係数のピークが相対時刻0より左側-6分にあることが分かった。(論文投稿中) 【細胞運動制御の仮説の再構築】 細胞骨格制御のメカニズムは未だほとんど不明である。本研究では、生化学的・生物物理学的観点からそのメカニズムを考察し直し、次の仮説を立てた。(1)関係分子の相対的活性度(時間差分、空間差分)がシグナルである、(2)細胞エッジは収縮の抑制によって伸張する(ラチェット機構)。以上の仮説に基づき、PC12細胞の実験データの解析を行った結果、細胞エッジが伸長する際、エッジの伸長ピークと分子活性ピークがほぼ同期することが分かった。 【細胞内分子の確率的応答特性に関する理論構築】 細胞内分子は、局所領域では分子数が比較的少数なため、濃度変化を連続変数による微分方程式で近似表現できない。その場合、分子活性のレベルは離散変数で評価され、反応は確率的になる。実験データにおける分子活性の確率的挙動が、Gタンパク質の上流分子の確率的応答特性にあると仮定し、特にPIP3のパルス状の活性変化を説明する理論モデルを構築した。(論文投稿中)
|