2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌を用いた多細胞体制成立のゲノム基盤に関する研究
Project/Area Number |
18017003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
漆原 秀子 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00150087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑山 秀一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (40397659)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 多細胞体制 / 細胞分化 / ゲノム解析 / データベース / cDNA解析 / 進化 / 遺伝子モデル |
Research Abstract |
細胞性粘菌の子実体形成は胞子と柄細胞のみを生じる最も単純な細胞分化のシステムで、発生メカニズムの解析に適した実験系とされてきた。しかし、細胞性粘菌の中でもAcytostelium属の子実体では柄は非細胞性で、全ての細胞が胞子となる。集合して多細胞になりながら細胞分化が見られない細胞性粘菌の存在は非常に興味深い。そこで、Acytosteliumの株と種々の情報が蓄積されているDictyostelium discoideumとの比較ゲノム解析によって、多細胞体制の本質的な意義である生殖細胞と体細胞への役割が可能になった進化の道筋を推察することを目標として研究を行った。比較的扱いやすい種としてAcytostelium subglobosumを選定し、無菌合成培地で増殖するクローン株を樹立した。ゲノムサイズを約28Mbと推定し、国立遺伝学研究所との共同研究でショットガン・シークエンシング法による配列決定を約6倍のカバレッジまで行った。また、D. discoideumの予測遺伝子構造をもとにしてオーソロガス遺伝子の推定を行い、データベースを構築した。さらに、相同性の低い遺伝子についての遺伝子モデル構築に役立てるため、増殖期cDNAライブラリーを構築して約7,000クローンの配列決定を行った。一方、発生過程の詳細な解析を可能にする実験系を開発した。A. subglobosumの発生は自らが分泌する揮発性低分子物質により阻害されることが見出されたため、細胞を比較的低密度に維持し、活性炭を培養皿上部に塗布することによって同調発生を可能にそた。これらの成果は今後柄細胞形成に関わる遺伝子群のオーソロガス遺伝子について構造と機能の解析を行うために大きく貢献すると期待される。
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Research Products
(15 results)