2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子水平伝播による共生系の進化と起源の統合的解析ー理論的推定および実験的検証ー
Project/Area Number |
18017009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 誠志郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 産学官連携研究員 (10334301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 元己 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00193524)
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Keywords | 進化 / 微生物 / 植物 / 生理学 / 情報工学 |
Research Abstract |
本研究ではまず根粒形成遺伝子群(nod)の分子進化解析を行いその結果nod遺伝子群ほぼ全てにおいて、描いた分子系統樹が"生物種の系統樹"と適合しないこと、およびこの主原因が水平伝播にある可能性が高いことを突き止めた。そして当初考えていたような遺伝子の水平伝播を分子系統学的に推定するとともに、根粒形成の促進に関わる遺伝子機能が平行進化したことや、遺伝子置換によるマメー根粒菌宿主特異性の新規な組み合わせの進化といった、新しい進化的現象を発見した。 水平伝播遺伝子の特徴を系統樹から認識し、自動抽出するプログラム(Evolutionary Process Searchプログラム)を開発した。そして、バクテリアの種の系統樹と矛盾した系統関係を示す遺伝子をゲノム全てから網羅探索し、新規な共生関連遺伝子の予測を行つた。その結果、はじめにその特徴を解析したnod遺伝子以外の根粒形成遺伝子群遺(他のnod遺伝子,nol遺伝子群)に加え、窒素固定関連遺伝子群(nif,fix遺伝子群)の出力に成功した。さらに共生アイランド全体の特定と共生機能未研究な遺伝子の抽出にも成功した。 本研究の目標である進化機構のゲノムからの理解に向け、既存のモデル植物およびモデルバクテリアに加えて、野外におけるマメおよび根粒菌の採集と同定を行った。調べたバクテリアについての結果では、これまでに知られていたよりもかなり大きな多様性が自然界に存在することが明らかになった。
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