2006 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌からシアノバクテリアへの不連続な「システムの形質転換」過程の解析
Project/Area Number |
18017016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三室 守 京都大学, 大学院地球環境学堂, 教授 (40142004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 徹 京都大学, 大学院地球環境学堂, 助手 (20362569)
鞆 達也 京都大学, 大学院地球環境学堂, 研究員 (60300886)
嶋田 友一郎 京都大学, 大学院地球環境学堂, 研究員 (30437256)
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Keywords | シアノバクテリア / 光合成系 / 光合成細菌 / 進化中間体 / システムズバイオロジー |
Research Abstract |
(1)チラコイド膜を持たないG.violaceusの原因を遺伝子レベルで解明するために、他のシアノバクテリアには存在するが、G.violaceusには欠損している遺伝子(群)を捜し、チラコイド膜形成に関与することが実験的に証明されている遺伝子産物と関連する可能性の高いタンパク質を探索した。その結果、約10種のタンパク質を同定した。 (2)光合成細菌Rhodobacter capsulatusのバクテリオクロロフィル合成経路を改変する形質転換系によりChl a合成関連遺伝子、および、後に獲得されたと考え得るアポタンパク質の構造遺伝子の導入も行っている。今後、これらの形質転換体により進化仮説の妥当性が解明されると考えている。 (3)光合成関連タンパク質複合体の構造的進化を解明するために、G.violaceusの酸素発生系で機能する3種の表在性タンパク質(PsbO, PsbU, PsbV)を大腸菌で大量発現させ、抗体を作製した。今後、これらを用いて、複合体の再構成実験などを行い、構造的進化を解明する。 (4)Chl dを主要な光合成色素として持つAcaryochloris marinaの光化学系IIについて、反応過程を詳細に解析した。複合体の単離精製法を確立し、従来の報告に比較してはるかに高い純度の標品を得ることができた。次にこの試料について、数種の分光学的な:解析を行い、第一次電子供与体がChl dであることを明らかにした。従来、我々は遅延蛍光の測定結果を根拠としてChl aであると主張してきたが、結果は異なっていた。さらに第一次電子受容体はフェオフィチンaであることを証明し、この分子の酸化還元電位は高くなっていたことを明らかにした。これは、第一次電子供与体がChl dで、かつその電位が水分解反応のためには他のシアノバクテリアと同じ電位を保つ必要があるが、吸収される光エネルギーがChl aと比較して100mV分、少ないために、受容体側の電位を上げることによってその不足を補い、全体の電子伝達反応系を維持するように調節が行われた結果であることが判明した。
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Research Products
(6 results)