2007 Fiscal Year Annual Research Report
光合成細菌からシアノバクテリアへの不連続な「システムの形質転換」過程の解析
Project/Area Number |
18017016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三室 守 Kyoto University, 大学院・地球環境学堂, 教授 (40142004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 徹 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 助教 (20362569)
鞆 達也 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 研究員 (60300886)
嶋田 友一郎 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 研究員 (30437256)
佐藤 壮一郎 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 研究員 (00399809)
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Keywords | システム変換 / シアノバクテリア / 光合成細菌 / ゲノム解析 / 進化中間体 |
Research Abstract |
A. marinaに関するゲノム情報解析と、他のシアノバクテリアの光合成機能の中でPS IIに関する解析が進展した。(1)Chl dを主要な色素として持つシアノバクテリア、A. marinaについての全ゲノム情報の解読が終了した。シアノバクテリアとしては例外的に9つのプラスミドを持ち、そのサイズの分布も374 kbpから2 kbpに渡り極めて稀な分布を持つこと、全ゲノムサイズが8.3 Mbpという例外的に大きいものであることが明らかになった。(2)反応中心タンパク質について、PS Iはアミノ酸置換が多く、PS II、特に光化学反応に関与する2サブユニットは小さいことが判明した。この事実は維持すべき色素の酸化還元電位との関連であると考えられる。(3)PS IIの電子受容体は他のシアノバクテリアと同じくフェオフィチンであることを我々は証明した。同時にその還元電位が他のシアノバクテリアに比べて高くなり、Chlの置換により獲得できるエネルギーが小さくなったことを補償する機構として極めて妥当な設計であることが判明した。この電位の変化に対応して、電子受容体の近傍に存在すると考えられるアミノ酸に多くの置換が見いだされた。(4)Gloeobacter violaceus PCC 7421において酸素発生系で機能する3種の膜表在性タンパク質(PsbO, PsbU, PsbV)の立体構造予測を行うと、ユニークなアミノ酸配列から予想されるとおりに、他のシアノバクテリアとは異なる構造が考えられた。他のタンパク質との相互作用のサイトなどが異なっており、酸素発生型光合成生物の間では極めて保存性が高いと考えられている水分解系に例外的な事例があることが強く示唆された。このことは、G. violaceusの水分解系が細胞膜外、ペリプラズムで行われることと高い相関があると考えられる。さらにG. violaceusの酸素発生活性は阻害剤であるDCMUによって約70%しか阻害されないことを見いだした。DCMU結合サイトのアミノ酸レベルでの変異はないので、その理由がまったく判然としていない。今後の大きな研究課題となった。
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Research Products
(25 results)