2006 Fiscal Year Annual Research Report
Photoreceptome解析による動物の光受容システムの進化及び多様性の研究
Project/Area Number |
18017018
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小柳 光正 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (30379276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久富 修 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60231544)
徳永 史生 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80025452)
寺北 明久 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30212062)
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Keywords | 光受容システム / オプシン / 進化 / アンドンクラゲ / 非視覚系色覚 / ハエトリグモ / ゼブラフィッシュ / 松果体 |
Research Abstract |
本研究は、光受容システムという、ほとんど全ての動物が持つ機能に注目し、このシステムが動物進化の過程でどのように進化、多様化したのかを分子レベルで明らかにすることを目指している。本年度は、原始的な動物など進化的にキーとなる動物の光受容システムの解明とゲノム解読によって初めて見つかった光受容タンパク質の物性解析を目指して研究を進めた。 ・本研究で注目した動物の中で、試料の調達が困難な野外生物(アンドンクラゲ、ハエトリグモ、ミツバチ、ムラサキウニ、トラフグ)について、入手経路および分子生物学実験系の確立に成功した。また、上記のすべての動物から光受容タンパク質であるオプシン遺伝子の単離に成功した。特にアンドンクラゲ、ハエトリグモについては、抗体を作製し免疫組織化学的解析によって、視覚との関わりを明らかにした。さらに現在、アンドンクラゲ、ハエトリグモのオプシンの培養細胞での大量発現に成功しつつあり、これまで困難とされていた無脊椎動物オプシンの変異体解析への道が開かれた。また、ハエトリグモのオプシンについては、ショウジョウバエの複眼への遺伝子導入を開始した。 尚、ハエトリグモの持つ高度な色覚の分子基盤の解明と節足動物における色覚の進化について、現在論文投稿中である。 ・硬骨魚類(トラフグ、ゼブラフィッシュ)のゲノム中に20種類を超すオプシンを見出し、そのうち生理機能が不明な10種類のオプシン遺伝子について生理機能解明の第一歩として、抗体作製を開始した。また、視覚以外で機能するパラピノプシン、メラノプシンについて、それぞれにパラログが存在することを見出し、それら全ての培養細胞での発現・分光解析に成功した。その結果、2種類のパラピノプシン、2種類のメラノプシンの間には、吸収する波長、すなわち"色"に違いがあることが明らかとなり、視覚以外での波長識別という新しい概念を導いた。
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Research Products
(4 results)