2006 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類Y染色体の多様性と普遍性-ゲノム構造から見る性染色体の機能とその進化-
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18017026
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黒木 陽子 独立行政法人理化学研究所, シーケンス技術チーム, 研究員 (10344037)
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Keywords | Y染色体 / 性染色体 / オランウータン / STSマッピング |
Research Abstract |
本研究では、性染色体のゲノム進化と染色体機能の関連性を明らかにすることを目指して、哺乳類性染色体の比較ゲノム解析を行う。7種の哺乳類(オランウータン、ニホンザル、マーモセット、イヌ、クジラ、ワラビー、カモノハシ)について、Y染色体上のX-degenerate region, Y-ampliconic region, X-degenerate regionに対応するX染色体領域の3領域のゲノム構造を比較し、哺乳類の進化過程で生じたゲノム構造変化と性染色体の機能獲得について考察する。 本年度は、上記7種の生物のゲノムDNAを用いたSTSマッピングと染色体比較マッピングを行い、性染色体(特にY染色体)の保存性を調べた。各生物で相同な領域について物理地図作成を行い、特定の領域についてはクローンの内部配列を決定することを目標に解析を進めた。ヒトY染色体上の遺伝子領域から作成した25個のSTSを用いてPCR解析を行ったところ、オランウータン、ニホンザル、マーモセット、イヌ、クジラ、ワラビー、カモノハシの順に18,13,6,8,5,9,11のプライマーでゲノム増幅を認めた。X-degenerate regionに位置する3遺伝子(RPS4Y1,TMSB4Y,SMCY)については7生物種全て、Y-ampliconic regionに位置する1遺伝子(DAZ3)については、マーモセットを除く6生物種でゲノム増幅を確認しており、これらの遺伝子は哺乳類で保存性が高い遺伝子であることが示唆された。これらのプライマーを含むヒトY染色体の配列データから作成した232プライマーを用いてオランウータンの全ゲノムBACライブラリーのスクリーニングを行い、151個のBACクローンを得た。現在、末端配列決定と配列データを用いた物理地図作成を進めている。
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Research Products
(3 results)