2006 Fiscal Year Annual Research Report
非天然型プレニル化芳香族化合物合成系の構築とその利用
Project/Area Number |
18018008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
葛山 智久 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (30280952)
|
Keywords | 法線菌 / 生合成 / プレニル化 / プレニル基転移酵素 / フラボノイド / ポリケチド / 微生物変換 |
Research Abstract |
本研究課題では、プレニル基転移酵素を大量発現させた大腸菌の形質転換体を用いた微生物変換を基本的な原理として、ジメチルアリル化芳香族化合物やゲラニル化芳香族化合物の合成系構築を目的としている。 平成18年度は、ジメチルアリル基転移酵素、Sco7190を発現させた組換え大腸菌を用いて、微生物変換によりナリンゲニンのジメチルアリル化化合物を得ることができた。これにより酵素精製をすることなく、簡便にプレニル化化合物を合成できる系を確立することができた。 加えて、大腸菌で高発現させた組換えタンパク質Fur7(フラキノシン生合成酵素の一つであるゲラニル基転移酵素)を用いてフラビオリンとGPPを反応させた場合、2種類の反応産物が得られたので構造解析を行つた。一つはNphB(ナフテルピン生合成酵素の一つであるゲラニル基転移酵素)と同じく一級のカルボカチオンが生成し反応したと考えられるが、もう一方は3級のカルボカチオンが生成し反応したと考えられる構造であった。このような酵素活性をリバースプレニル基転移活性と呼び、これまでにカビ由来の酵素で報告されているが、プレニル基転移活性と両方の活性を有する酵素はFur7が始めての例である。 CL190株のメバロン酸経路遺伝子クラスター下流に、脂肪酸生合成の初期段階の反応を触媒する酵素であるKASIIIと相同性を有するORF-nを見出した。解析の結果、本ORFは、真核生物の酵素に関して報告されているようにアセチルCoAの2分子からアセトアセチルCoAを生成するのではなく、アセチルCoAとマロニルCoAからアセトアセチルCoAを生成する新規酵素、アセトアセチルCoAシンターゼであることが判明した。一方、Streptomycessp.CL190株からPCRを利用してクローニングしたアセトアセチルCoAチオラーゼホモローグはアセトアセチルCoAの合成活性を示さなかった。以上のことから、放線菌のメバロン酸経路は真核生物のそれとは初期段階が異なることが明らかになった。
|