2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報に基づいた高性能バイオポリエステル生産微生物の分子育種
Project/Area Number |
18018014
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福居 俊昭 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 助教授 (80271542)
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Keywords | 生分解性プラスチック / 環境調和型材料 / ポリヒドロキシアルカン酸 / バイオマス / ゲノム / 組換え微生物 |
Research Abstract |
微生物が合成するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は環境低負荷型の生分解性プラスチックとして注目されている。本研究では微生物ゲノム情報を基盤として、物性の優れた共重合PHAを効率生産する微生物を分子育種することを目指す。 これまでに宿主として利用してきたRalstonia eutrophaのポリ(3-ヒドロキシブタン酸)[p(3HB)]合成能欠損株(PHB^-4株)は増殖能が野生株より劣ることから、R.eutropha野生株染色体上のPHA合成酵素遺伝子を広基質特異性のA.caviae由来遺伝子に相同性組換えにより特異的に置換した。得られたH16CAc株は植物油を炭素源として良好に増殖し、3-ヒドロキシヘキサン酸(3HHx)ユニットを含むP(3HB-co-3HHx)を乾燥菌体重量あたり84wt%と効率よく蓄積した。しかし3HHx分率が1.2mol%と高くないため、その向上が今後の課題である。 一方、側鎖のない3-ヒドロキシプロピオン酸(3HP)ユニットを含むP(3HB-co-3HP)も柔軟性が改善されたPHAである。これまでP(3HB-co-3HP)の合成には培地に3HPなどの高価な炭素源を添加しなければならなかった。そこで緑色非硫黄細菌Chloroflexus aurantiacusの炭酸固定経路3HPサイクルの鍵酵素であるマロニル-CoAレダクターゼと3HP-CoAシンテターゼの両遺伝子をR.eutropha野生株に導入した。本組換え株はフルクトースを炭素源として3HPユニットを1.6mol%含むP(3HB-co-3HP)を生合成することを確認した。 さらに、代謝物を網羅的に測定するメタボローム解析をPHA生産菌に適用する準備として、各種構造・鎖長のアシル-CoAを化学合成および酵素変換の組み合わせで合成した。
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