2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全リスク推定システムに基づくオーダーメイド医療の確立
Project/Area Number |
18018017
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
下条 文武 新潟大学, 医歯学総合病院・教授, 教授 (20126410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (20272817)
坂爪 実 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70334662)
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Keywords | 慢性腎臓病 / 腎不全 / IgA腎症 / SNP / 遺伝子多型 / RAS |
Research Abstract |
本研究の目的は、臨床データと共にゲノム多型情報を利用した腎不全リスク推定システムを構築し、それに基づいて原発性糸球体腎炎をはじめとする腎臓病の治療に介入し、より確実な治療効果の実現めざして、前向き(prospective)介入研究を行うことである。申請者らは年間400例以上の腎生検症例を経験し現在までに1万3千例以上の腎生検組織所見に関するデータベースを構築し、長期的な経過観察も継続している。また腎生検を受けた症例の遺伝子抽出を開始し、現在までに約1,400例(IgA腎症380例を含む)のゲノムDNAを連結可能匿名化し、保存した。本研究はこれまでの申請者らの経験と研究基盤を有効に活用し、ゲノム医学を腎疾患臨床に活用するための重要な基礎データを得る。本研究では2年間をかけて、腎疾患に対して臨床所見とともにゲノム多型情報を導入した腎不全リスク推定システムを構築し、治療介入への基盤となるデータを得るための前向き研究を開始する。 本年度は、複数の遺伝子多型と複雑な臨床データとIgA腎症の腎機能予後について、生存分析を行った。単純な関連解析ではなく、time-to-event analysisに臨床データとともに遺伝子型データを導入して解析した。 また治療に対する反応性、腎機能の長期予後を判定するシステム(特許出願中)を臨床に応用し、治療反応性ならびに腎機能の長期予後と上記遺伝子多型群との関連性を解析した。 本研究の目的のうち、およそ半分は達成されたと考えている。複数の遺伝子の組み合わせにより、腎機能予後を確実に推定できること、ARBやACEiなどのRAS阻害薬の治療効果にRAS系の遺伝子が関連することを後ろ向き解析により証明し得た。
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