2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報に基づいたP.gingivalisの宿主内での病原性因子調節機構の解析
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18018032
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 浩次 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80150473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 真理子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (20244072)
雪竹 英治 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 技術職員 (30380984)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 歯学 / 免疫学 |
Research Abstract |
マウス体内で発現量の増加する蛋白質については、昨年度、上昇した蛋白質の中で3種、immunoreactive 61 kDa antigen PG91(PG2102)、DNA-binding response regulator RprY(PG1089)、TPR domain protein(PG1385)に着目し、W83株を用いてそれぞれの遺伝子変異株を作製した。マウスを用いて検討したところ、PG2102欠損株の病原性は親株との間に差が見いだせなかったが、PG1089、PG1385それぞれの欠損株では病原性が顕著に減弱していた。RprYは2成分制御系の調節タンパク質であり、またTPR domainは真核細胞においてシャペロン分子の足場のような役割をしていることから、両者が複数の病原性因子の調節に関わっていることが示唆される。次にRprY(PG1089)とTPR domain protein(PG1385)が制御あるいは相互作用している病原性因子を明らかにするため、W83株、RprY(PG1089)欠損株、TPR domain protein(PG1385)欠損株がマウス体内で発現している遺伝子についてDNAチップを用いて解析をおこなった。具体的にはプロテオミクスの実験と同様にBalb/cマウス背部に埋入したコイル内腔にW83株、RprY(PG1089)欠損株、TPR domain protein(PG1385)欠損株を接種し、2時間後に回収した菌体から全RNAを回収し、W83発現アレイ(NimbleGen)を用いて解析した。実験はそれぞれ2回行った。その結果、W83株に対してRprY(PG1089)欠損株で発現の上昇しているものが64プローブ、減少しているものが2プローブ、W83株に対してTPR domain protein(PG1385)欠損株で発現の上昇しているものが5プローブ、減少しているものが5プローブであった。いずれの欠損株に於いても発現の減少しているものが病原性に関わる確率が高いと考えられるが、immunoreactive 63 kDa antigen PG102が両株に共通して野生株に比して減少していたことは興味深く、この病原性の関与を今後調べる必要がある。またW83株を培地で増殖させた場合とマウス体内に置いた場合を比較した場合、マウス体内で発現の上昇しているものが16プローブ、減少しているものが145プローブであった。発現の減少している中で126プローブはintergenic regionであり、その意義については今後の検討が必要である。酵母two-hybrid sysytemの確立は難航したが、ようやくシステムとして動き始め、成果が得られつつある状況にある。
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