2006 Fiscal Year Annual Research Report
海馬CA1のカントルコーディングの数理モデルと実証実験
Project/Area Number |
18019002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行木 孝夫 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (40271712)
塚田 稔 玉川大学, 工学部, 教授 (80074392)
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Keywords | エピソード記憶 / 時系列学習 / カントル集合 / 木構造 / コンパートメントモデル / 海馬 / アフィン変換 |
Research Abstract |
本研究は、エピソード記憶の形成過程に関する計算論的モデルの構築をめざして、海馬CA1における時系列コーディングを数理モデルの構築と実験的検証によって明らかにすることを目的にしている。連想記憶の連鎖がエピソード記憶を形成するという仮説のもとに研究している。 まず、CA1のモデルとして、PinskyとRinzelの海馬錐体細胞の2-コンパートメントモデルを採用し、生理学的なパラメーター値に近い値を設定したときの錐体細胞の振る舞いをシミュレートした。その結果、生理学的な錐体細胞ときわめて類似した活動状態をモデルが示すことを確認した。 次に、CA3の出力として想定される空間パターンの時系列をCA1錐体細胞層に入力として与えたときの錐体細胞の膜電位変化を調べた。入力に対する感受性を調整することで、スパイク出力がある場合とない場合に分けて研究した。ない場合の応答は閾値下の膜電位変化のみである。この場合は小さな電位変化の範囲において、CA1ニューロンの膜電位にカントル集合が出現した。この集合の各要素は入力の各自系列に対応し、それらは入力の過去から現在に至る履歴に対して木構造をしていることがはわかった。すなわち、時系列情報がカントル集合上にコードされることが分かった。次に、出力がスパイク発火を含む場合についても同様の研究を行い、膜電位に同様のコーディングがなされることがわかった。さらにこのときに、この膜電位の情報がスパイク出力にどの程度繁栄するかを調べたところ、約80%の情報がスパイク時系列に繁栄することが判明した。これは、カントルコーディングがほぼ正しくスパイク時系列の形でデコードされうることを示唆している。このような状況において、カントル集合の生成規則を調べた結果、アフィン変換が内部に構築されていることがわかった。
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Research Products
(9 results)