2007 Fiscal Year Annual Research Report
海馬CA1のカントルコーディングの数理モデルと実証実験
Project/Area Number |
18019002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 一郎 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行木 孝夫 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (40271712)
塚田 稔 玉川大学, 工学部, 教授 (80074392)
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Keywords | エピソード記憶 / アフィン変換 / カントル集合 / カントルコーディング / コンパートメントモデル / 海馬 / 入力時系列間隔 |
Research Abstract |
昨年度と同様に、生理学的なモデルとしてPinsky&Rinze1の海馬錐体細胞の2-コンパートメントモデルを採用し、CA1の神経回路モデルを構築した。このモデルに時系列入力を与え出力を解析した。実験は、パッチクランプによる単一細胞電極を用いた。以下のような結果が得られた。 (1)入力時系列パターンの間隔について調べた。NMDAチャンネルAMPAチャンネルがともに働いているときは間隔が50msecから200msecまでの間でカントルコーディングは成立するが、AMPAチャンネルのみのときは10msecのごく近傍でしかカントルコーディングは成立しない。これは、NMDAチャンネルの働きによって、Caチャンネルが働くようになり、その時間スケールが効いて遅い時間スケールまでコーディングが可能になったと考えられる。 (2)モデルCA1ニューロンの膜電位を主成分解析した結果、第一主成分と第二主成分のリターンマップはアフィン変換の存在を示した。しかし、第三主成分に関しては線形からはずれ非線形変換になっている。少なくとも第一と第二に関してはアフィンであるので、この系のカントルコーディングが反復関数写像(IFS)と同種のものによってなされていることを意味する。 (3)CA1ニューロンの膜電位にオーバーラップが見られるときは階層性が崩れ、復号化が不可能になる。そこで、オーバーラップがいつも起こるのか否かを調べた結果、オーバーラップがなくなるような空間が常に存在することがほぼ分かった。ニューロンがこういったうまい空間を張っているかどうかは別の問題である。 (4)玉川大学塚田研究室との共同研究において、ラット海馬スライスによるカントルコーディングの実証実験を行ってきた。CAl膜電位に階層的なクラスタリングが認められたこと、またアフィン変換が見つかったことから、理論の予測どおりの結果が得られた。
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Research Products
(14 results)