2007 Fiscal Year Annual Research Report
光・分子イメージングを用いた運動関連領野の機能的構造の研究
Project/Area Number |
18019005
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯島 敏夫 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90333830)
|
Keywords | FRET / 神経科学 / 脳・神経 / 可視化 |
Research Abstract |
運動の企画や実行過程の脳内機構の理解をさらに進めるには、関与する神経ネットワークについてそのマクロスケール動態を解析してシステム的理解を進めること、同時にネットワークの構成要素(神経細胞)を厳密に同定することの2つが重要である。この目的から我々は近年、膜電位感受性FRETシステムを開発した。同システムでは注目する神経回路のみから神経活動を多点同時的に光学的記録することが可能である。また活動記録後、そのタンパクプローブの発現を指標にして細胞を免疫組織化学的に同定することが容易である。本研究の特徴はサルを実験対象とし、前述の新技術を駆使して運動に関わる高次脳機能のこれまでの理解をさらに前進させようとするところにある。一次運動野で、体の近位部(肩、肘など)に運動指令を送るニューロン群と遠位部(手)に運動指令を送るニューロン群のそれぞれに神経投射する運動前野ニューロンは、運動前野内で大まかに背側と腹側というような異なる空間分布を示すことがこれまでの研究で報告されている。この詳細を明らかにするとともに神経活動の動的空間分布という新しい情報を得るため、一次運動野で体の遠位部と近位部に運動指令を送るニューロン群のそれぞれに神経投射する運動前野ニューロンが運動前野内で実際にどのような空間的広がりをもっているのか、さらにサルが課題運動を行う最中にそれらがどのような活動動態を示すのかを標的神経回路選択的な光計測法を用いて明らかにした。次いで運動前野と一次運動野の間の神経構造が、さらに補足運動野や頭頂連合野、さらに前頭前野などから直接的、間接的どのような神経支配を受けるかを調ベた。
|