2006 Fiscal Year Annual Research Report
興奮性ニューロンと抑制性ニューロンが識別できる遺伝子改変ラットの開発、パート2
Project/Area Number |
18019007
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳川 右千夫 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90202366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 真澄 自然科学研究機構, 生理学研究所・脳機能計測センター, 助教授 (20353435)
柿崎 利和 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助手 (50375531)
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Keywords | ラット / 抑制性ニューロン / 蛍光タンパク質 / 海馬 / 視床 / 脳幹 |
Research Abstract |
脳は、興奮性と抑制性のニューロンで構成される神経ネットワークの集まりからできている。しかしながら、興奮性ニューロン(神経伝達物質としてグルタミン酸を放出する)と抑制性ニューロン(神経伝達物質としてGABAあるいはグリシンを放出する)の両者ともin vitroおよびin vivoで正確に同定することは、一般に困難である。そこで、抑制性ニューロンを蛍光分子で標識したトランスジェニックラット(VGAT-Venusラット)2系統(系統Aと系統B)について解析した。 VGAT-Venusラットの海馬、視床でのVenusの発現について組織学的解析を行った。系統Aのラット海馬では、散在性にVenus発現細胞が観察され、錐体細胞での発現は認められず、GABAニューロンの発現分布と類似した。一方、系統Bのラット海馬では、CA1錐体細胞でのVenusの異所性発現が認められた。視床では、両系統のラットにおいて、GABAニューロンの豊富な網様核でVenus発現細胞が観察された。しかし、系統Aのラットでは、グルタミン酸ニューロンの豊富な外側腹側核や後腹側核でのVenusの異所性発現が認められた。この結果は、海馬と視床のGABAニューロンの解析には系統Aと系統Bのラットをそれぞれ利用することで、解析可能なことを示唆している。 系統Bのラット内側前庭神経核(MVN)と舌下神経前位核(PHN)に存在するVenus陽性細胞からホールセル記録を行った結果、MVNでは主にlate spikingの発火パターンを、PHNではlate spiking、continuous spiking、first interspike interval longの発火パターンを観察した。以上の結果は、これまでホールセル記録と単一細胞RT-PCR法によりMVNやPHNのGABAニューロンで得られた結果と一致した。従って、これら脳幹の神経核GABAニューロンの解析にVGAT-Venusラットが有用であると結論した。
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Research Products
(4 results)