2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18019013
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
杉原 泉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (60187656)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / 登上線維 / アルドラーゼC / 神経解剖学 / ラット / マウス / 進化 |
Research Abstract |
アルドラーゼCという酵素タンパク分子は、ラット小脳において縦縞模様状に分布するプルキンエ細胞に発現しているので、アルドラーゼC免疫染色により小脳の縦縞構造を可視化することができる。われわれはこれまで、ラットにおいて、登上線維系の投射パタンがアルドラーゼC発現の縞構造と強い関連を持つことを明らかにし、この縞構造が小脳の機能区分に関わる基本構築を示すものであると考えてきた。そこで、ラット以外に、マウス、マーモセット、ヒヨコにおいて、小脳のアルドラーゼC発現の縞構造の有無とラットの縞構造との違いを、小脳連続切片のアルドラーゼC免疫染色とトレーサー注入による登上線維標識により検討した。 これらの動物の小脳においても、アルドラーゼCがラット小脳と同様に縦縞状に発現していることが明らかとなった。マウスにおいて、アルドラーゼC発現の縞構造を連続切片から詳細に再構築した。さらに下オリーブ小脳投射軸索を縞模様の上にマッピングして、下オリーブ核のどの場所がどの縞に投射するかを明らかにした。それにより、下オリーブ小脳投射パタンのトポグラフィーの共通性を利用してマウスのどの縞がラットのどの縞と同一かを決定した。その結果、マウスには、幾つかの違いはあるものの、ラットとよく似たアルドラーゼC発現の縞構造があることが明らかとなった(下の研究発表の3)。また、ヒヨコとマーモセットのアルドラーゼC発現の縞構造については、ラット・マウスのものとかなり異なっていた。 以上の結果は、異なる進化をたどった動物(トリ、齧歯類、サル)の小脳の基本構築の違いがアルドラーゼC発現の縞構造に鮮明に反映されていることを示唆する。また、われわれは、各縞の機能的意義に関しては、ラット小脳における電気生理学的実験と苔状線維標識・プルキンエ細胞標識とをアルドラーゼC染色を組み合わせた(下の研究発表の2)。
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