2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しいインビボ可視化パッチクランプ法の開発による覚醒マウスにおけるホールセル記録
Project/Area Number |
18019025
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
喜多村 和郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60423159)
|
Keywords | 2光子励起イメージング / ホールセル記録 / 可視化 |
Research Abstract |
覚醒状態の丸ごとの動物の脳において活動中の神経細胞からパッチクランプ記録を行うための新しい方法の開発を行う。この方法では、細胞外領域に蛍光色素を導入し、2光子励起顕微鏡で脳内の神経細胞を"影"として可視化する。脳内の細胞外領域への蛍光色素の導入方法としては、パッチクランプ電極の内液に蛍光色素を含めておき、僅かな陽圧を電極にかけるだけで良く、細胞の蛍光標識や蛍光色素を前もって注入するなどの前処理を一切必要としない、非常に簡便な方法である。可視化された細胞に記録電極を近づけることで、目的の細胞からパッチクランプ記録を行うことを可能にした。今年度は、これらの実験を行うための2光子励起顕微鏡の構築を行い、麻酔下のマウス大脳および小脳において目的の細胞を可視化してパッチクランプ記録を行う方法の最適化を行った。その結果、大脳新皮質および小脳皮質の投射ニューロンである錐体細胞およびプルキンエ細胞など大きな細胞では約7割の成功率で、小型の介在ニューロンでは約5割の成功率でパッチクランプ記録を行うことが可能となった。また、単に成功率が向上しただけでなく、従来一般的に行われている生体内パッチクランプ法に比べて、安定な記録を長時間(>30分)保持できることを可能にした。これらの開発した技術を用い、今後、覚醒時のマウスにおいてパッチクランプ記録を行うことで、麻酔の影響を受けることなくよりインタクトに近い状態での神経活動を記録し、自然刺激に対する応答の解析を行う。
|