2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経生理学的手法と神経解剖学的手法を用いた認知と運動の統合過程の解析
Project/Area Number |
18019032
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
星 英司 Tamagawa University, 脳科学研究所, 准教授 (50407681)
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Keywords | 神経生理学 / 神経解剖学 / 運動前野 / 前頭前野 / 一次運動野 / 狂犬病ウイルス / 認知 / 運動 |
Research Abstract |
認知と運動を統合する神経基盤を調べるために、視覚認知の中心である下側頭皮質がどういった経路で前頭葉にある運動前野、一次運動野に投射するのかを狂犬病ウイルスや蛍光色素等を用いた解析した。まず、運動前野に直接投射する領域を調べるために、ここに逆行性のトレーサーである蛍光色素を注入した。その結果、前頭葉皮質の内側面と前頭前野背外側部が運動前野に直接投射することが明らかりなった。しかし、下側頭皮質には標識された細胞は見出されず、この領域は運動前野には直接投射しないことが確認された。そこで、逆行性の経シナプス性のトレーサーである狂犬病ウイルスを運動前野に注入し、間接的に、ここへ投射する領域を同定することを試みた。まず、一段階の経シナプス投射を送る領域を調べた。その結果、直接投射を送る領域に加えて、前頭前野の腹側部に標識された細胞が現けることが明らかとなった。しかし、この段階でも依然として、下側頭皮質には標識された細胞は殆ど見出されなかった。そこで、二段階の経シナプス性の投射を許したところ、新たに下側頭皮質に標識された細胞が現れることが明らかとなった。また、この領域は前頭前野の腹側部に投射する部位に相当していた。以上の結果を総合すると、下側頭皮質は二段階のシナプスを経て運動前野に投射していることが示唆された。この結果を踏まえて、認知情報に基づいて運動情報を生成する必要がある課題を遂行している被験体の前頭葉の複数の領野より細胞活動の記録を行たった。下側頭皮質から運動前野、一次運動野に到る経路上の前頭葉領域の特性を比較しところ、一次運動のに近づくほど運動の表現が強いのに対して、下側頭皮質に近づくほど認知情報の表現が強いことが明らかとなった。
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