2007 Fiscal Year Annual Research Report
大脳基底核間接路の神経回路ダイナミクスと脳深部電気刺激療法の機序の解明
Project/Area Number |
18019036
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北野 勝則 Ritsumeikan University, 情報理工学部, 准教授 (90368001)
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Keywords | 基底核 / 神経回路 / 脳深部刺激 / シミュレーション / 数理モデル |
Research Abstract |
・淡蒼球神経細胞のモデル構築とその応答性の解析:淡蒼球に存在する3タイプの細胞のうち、その主要なタイプ(>60%)であるtype II (Nambu&Llinas,1997)あるいはtype A (Cooper&Stanford,2000)ニューロンをモデル化し、リズム活動時の応答特性を表す位相応答曲線(Phase Response Curve)を求めた。得られたPRCをもとに、これらのニューロンで構成される回路の安定活動パターンについて解析した。この解析ではニューロン間のシナプスとしてGABAAだけでなくGABAB結合も考慮し、GABAA結合とGABAB結合の比を変化させた時の、安定パターンの変化について調べた。その結果、GABABの強度が増すにつれ、同期活動の安定性が低下し、GABAA結合とGABAB結合のバランスが回路活動の安定性に対し重要な意味を持つことが示唆された。 ・視床下核-淡蒼球神経回路モデル計算機実験による間接路神経活動モードの解析:上述の淡蒼球ニューロンモデルとOtsukaら(2003)による視床下核ニューロンモデルから構成される視床下核-淡蒼球神経回路モデルを構築して計算機実験を行い、その神経活動モードを調べた。この系では、回路結合形態をはじめとして未知パラメータが多く存在するが、ここでは上述のGABAB結合の強度に加え、ドーパミン存在下(正常時)と枯渇下(病態時)における活動パターンの遷移に着目し、ドーパミンにより修飾されるとされるシナプスにおける伝達物質の放出確率をパラメータとして変化させ、活動パターンに対する影響を調べた。これら2つのパラメータの組合せにより、いくつかの活動モードが出現するが、ドーパミン枯渇時を想定したパラメータ値において、バースト活動が出現するなど、これらのパラメータが神経活動モードの遷移に寄与することが示された。
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Research Products
(3 results)