2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18019046
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小村 豊 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究員 (80357029)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
ノイジーな環境にさらされた場合、我々の知覚システムは、複数の情報ソースを利用することによって、標的刺激の検出を促している。では、異種情報の統合的操作は、脳のどこから始まり、どのように検出や行動の利得とつながっているのであろうか? 平成18年度は、モデル化しやすい視覚系を選んで、色と動きという最も離れた情報の統合を要求する課題(Color to Motion Binding ; CMB課題)をサルに遂行させた。CMB課題では、「色」次元と「動き」次元の特徴の組み合わせを、確率的に操作したランダムドットを、サルにテスト刺激として呈示し、ある色を手がかりとして与えた場合、その色のドットが動いている向きを判断して、定められた左右のどちらかのバーを触れるという行動選択を要求した。例えば、色次元では、赤・緑、動き次元では、上・下という競合特徴を二つずつ用意すると、各特徴を組み合わせた刺激は4種類できるが、それらをトランスパレントに同時に提示した。 CMB課題のトレーニングに成功したサル2頭の行動学的解析を行った。色と動きの結びつき係数を横軸に、正答率または反応時間を縦軸にとると、それぞれ、シグモイド曲線と回帰直線で、フィットできた。また、知覚判断を問わない条件では、両軸の関係は、無相関であった。これらの結果から、サルの知覚判断が、色と動きの結びつきの強さに基づいていることが、客観的に担保され、情報統合が難しくなればなるほど、リクルートされる注意水準が、上がっていくことが、定量的に推定できた。また、妨害刺激の輝度を下げたり、標的刺激からの空間的位置を離しても、正答率は向上し、反応時間は短縮した。この結果は、妨害刺激は、全く無視されず、陰に知覚判断に影響を及ぼしていることを意味する。以上から、標的刺激を検出するための情報統合と図地分離の過程が、同時進行していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)