2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの視覚認知の脳内機構に関する精神物理・神経心理学的研究
Project/Area Number |
18020003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 悦朗 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30368477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 俊勝 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70271913)
鈴木 匡子 東北大学, 病院・講師 (20271934)
平山 和美 東北大学, 病院・講師 (00218819)
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Keywords | 視知覚 / パーキンソン病 / ポジトロン断層撮影 / 神経心理学 / 視覚認知 / フルオログルコース |
Research Abstract |
ヒトの視覚情報処理において要素的な情報を形態へと統合する過程はきわめて重要である。錯綜図の認識、テクスチャーの違いや主観的輪郭による形態の知覚など、物理的には存在しない境界を脳が作り出し形態へと統合する過程に注目、パーキンソン病(PD)患者に対し、これらの機能の成績とFDG-PETの異常との相関を検討、視覚による形態統合の脳内機構を探った。 痴呆を伴わないPD患者41例と健常対照20例に、1.錯綜図認識課題では、4つの線画が重なった刺激を10刺激提示し、同定できた線画を口頭で報告させた。同定できた数(正答数)と不提示のものを誤って報告した数(誤答数)を測定した。2.前注意的高次視知覚課題では、視覚刺激を画面に提示、標的刺激の位置や形を答えさせた。正誤に基づきBest-PESTアルゴリズムで刺激提示時間を制御し40試行実施、最後の5試行の平均提示時間を課題刺激の知覚閾値とした。全PD患者に対し、FDG-PETで安静時の局所脳糖代謝を測定、SPM2を用いて各課題の成績と脳糖代謝が相関する脳領域を推定した。 結果、1.錯綜図認識課題では、PD群とNC群との間に正答数では差がなく,誤答数がPD群で多かった。誤答数と局所脳糖代謝が負の相関を示す脳領域は、両側の下側頭葉、側頭頭頂接合部であった。2.前注意的高次視知覚課題では、PD群は,交叉の有無による形判断と,Kanizsa型主観的輪郭でのみ知覚所用時間が延長していた。前者と,両側側頭後頭接合部領域、後者と右側頭後頭接合部,左側頭後頭接合部および下頭頂小葉の脳糖代謝が負の相関を認めた。 痴呆を伴わないPDに特殊な形態統合の障害が存在し、外側後複合など腹側経路領域を中心とした糖代謝と関連していた。
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Research Products
(4 results)