2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞モデルの縮約による大脳皮質視覚野の統合的研究
Project/Area Number |
18020007
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 真人 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)
|
Keywords | 脳 / 神経細胞 / スパイク / 発火率 / 縮約 |
Research Abstract |
本来高次元空間で表されるHodgkin-Huxley(HH)方程式を,動作モードを制限することにより,低次元に射影するのが縮約である.アナログ縮約は,スパイクが確率的に発射されるとみなされるランダムスパイク極限の時に用いられる. 本年度は,このアナログ縮約の理論を構築した.その結果,HH方程式系は3次以上の相互作用を持つアナログニューロンモデル系に縮約されることがわかった.これはHH方程式系が従来のアナログニューロンモデル系よりも高い計算能力を持つことを意味する.さらにニューロンの発火率だけでなく,発火率の揺らぎを計算することにも成功した. これらの理論を,視覚第一次野のハイパーコラムに適用した.ハイパーコラムに方位θの線分が入力されると,ハイパーコラム内の各ニューロンの発火率が与えられる.集団符号化理論の枠組みでは,線分の方位θが与えた条件で,方位を情報表現するニューロン群の出力から方位θを推定することを考える。従来の集団符号化の枠組みでは,個々のニューロンの発火率の平均値とその平均値からのずれの性質は天下りに仮定されて議論されており,その基盤となる神経メカニズムには一切触れていない.つまり集団符号化に関してはハードウェアから計算理論までをつなぐ首尾一貫した理論体系が構築されていないのである.今年度開発した手法を用いると,天下り的に与えていたニューロンの発火率の平均と分散を,ハードウェアのレベルから求めることができた.これは視覚第一次野のハイパーコラムに関して,ハハードウェアから計算理論までを首尾一貫につなぐ理論体系が出来上がったことを意味する.
|
Research Products
(12 results)