2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18020008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂井 克之 東京大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70376416)
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Keywords | 前頭葉 / 脳波 / 磁気刺激 / 選択的注意 / 前頭眼野 / 機能連関 / 機能的核磁気共鳴画像 |
Research Abstract |
我々の柔軟な行動には、その実行前に行動のルールを脳内に表象する能力が不可欠である。その成立機序を明らかにする目的で、機能的核磁気共鳴画像(fMRI)、脳波、経頭蓋磁気刺激法(TMS)を併用し、脳領域間の動的な相互作用を解析する。特に前頭前野と後方連合領域間での活動の因果関係を明らかにすることを主たる目的とする。本年度は前頭前野と後方連合領域間の活動の因果関係が時系列上動的に変化するとの仮説を、TMSにより検証した。正常被験者を対象として同一視覚刺激の異なった次元に注意を向ける選択的注意課題を用いて前頭眼野にTMSを行ったところ、誘発された電位変化は特定の後方頭頂領域に伝達されることが明らかになった(Morishima et al. Abstr Soc Neurosci 2006)。またこの電位変化の空間パターンは課題選択的であり、行動ルール特異的な前頭葉制御信号を反映したものと考えられた。この電位変化と同じパターンの脳領域間相互作用がfMRI実験でも得られた。また本年度はTMSを頭頂葉あるいは上側頭葉に与えることで不活化し、単語に対する意味分析あるいは発音分析という課題特異的な情報の流れをブロックすることに成功した(NaKamura et al. Neuron 2006)。さらにfMRIで得られたデータに対してmulti-voxel pattern analysisを行うことにより、被験者が足し算か引さ算のどちらを意図しているかを前頭前野内の3ミリ角の画素レベルの活動パターンから区別できることを示した(Haynes et al. Curr Biol 2007)。以上のように多彩な手法により、行動ルールは脳局所レベルの特定の活動パターンと脳領域間の特定な相互作用パターンで表象されることが明らかとなった。
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