2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18020016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (00145830)
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Keywords | 前頭連合野 / ワーキングメモリ / 意志決定 / 眼球運動 / 自由選択 / 単一ニューロン活動 / 課題関連活動 |
Research Abstract |
眼球運動の決定過程に関与する前頭連合野神経機構を明らかにする目的で、予め眼球運動方向を指示する課題(ODR課題)と、反応時に眼球運動方向を自由に選択できる課題(S-ODR課題)を用い、同一ニューロンから記録される活動を両課題で比較した。手がかり刺激呈示期の活動はS-ODR課題で活動自体が消失したり、方向選択性を消失してしまうこと、眼球運動関連活動はS-ODR課題でも生じ、ODR課題で観察される特徴との間に差異のないこと、さらに、眼球運動関連活動の開始のタイミングは、眼球運動開始の潜時と強い正の相関のあることなどから、ODR課題で観察される課題関連活動のうち、手がかり刺激呈示期の活動や、反応期に生じる眼球運動関連活動は、S-ODR課題において眼球運動方向の決定に直接関わっていないことが明らかになった。一方、ODR課題において方向選択性のある遅延期間活動を示した多くのニューロンは、S-ODR課題においても方向選択性のある遅延期間活動を示した。方向選択性の強度の時間変化を検討する目的で、最大応答方向の活動と最小応答方向の活動をもとにROC解析を行った。その結果、ODR課題では、手がかり刺激呈示と同時にROC値が増加し、増加した状態が遅延期間中増加するのに対して、S-ODR課題では、ROC値が遅延期開始後に増加を始め、徐々に増加していくことが示された。S-ODR課題の遅延期間に観察されるROC値の漸増は、ニューロン集団レベルでの方向選択性強度の増大と、方向選択性のある遅延期間活動強度の増大から説明が可能である。様々な活動パターンを示す遅延期間活動を個々に検討した結果、遅延期の初期から有意な方向選択性を示し、かつ眼球運動開始に向けて活動強度を増加させるタイプの遅延期間活動をもつニューロンが、S-ODR課題における眼球運動方向の決定に最も重要な関与をしていることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)