2006 Fiscal Year Annual Research Report
空間および周波数領域逆相関法による高次視覚機能の研究
Project/Area Number |
18020017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大澤 五住 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (20324824)
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Keywords | 初期視覚野 / 一次視覚野 / 脳梁 / 逆相関法 / 受容野 / 手掛不変性 |
Research Abstract |
本研究の目的は当研究室が最近開発した、複数領野の多数の視覚野細胞からの同時記録に適合性の高い計測手法を用い、視覚領野内での神経細胞間の結合と中高次の領野への視覚情報の受け渡しの機構を解明することにある。この新解析法は「局所スペクトラム逆相関法」(LSRC : Local Spectral Reverse Correlation)と呼ばれ、これを多点電極記録及び従来の解析手法を組み合わせることにより、多数の神経細胞の特性の一括計測を可能にする。この方法により、初期視覚野の神経細胞において従来検出することが難しかった反応特性や、中高次視覚領域の細胞の受容野の内部構造を解析し可視化した。具体的には、この新手法を中高次視覚受容野の生成機構と脳梁による左右視野の受容野レベルでの融合機構の解明に応用した。 ネコにおいて複数の電極により、同時に数個の細胞から記録を行い、これらの細胞の受容野の内部構造を解析した。17,18野内の、複数の細胞からの同時記録を行った。受容野を2次元ダイナミックノイズ刺激から求め、さらにその同一データをLSRC法により解析し、受容野内での最適方位の局所変化を調べ、そのような受容野を可視化した。 また、脳梁結合による左右視野にまたがる受容野の継ぎ合わせの機構を解明するために、左右半球の17及び18野から同時記録し、線形受容野の計測に加えて、LSRC法、半球間の結合を調べるための相互相関法の適用した。18野の受容野は視角10度以上の大きさを持つものが多くあり、最大でも2度程度の網膜レベルのオーバラップでは継ぎ合わせを説明できない。これらの記録により、受容野構造のどの部分がどちらの半球由来の入力であるかを調べた。 さらに、輝度ではなく、コントラストの変化によって定義される両眼視差による奥行き情報が18野の細胞によって表現されていること、その奥行き情報は輝度によって得られる情報とつじつまの合う形で表現されている事(手掛不変性)を発見した。この成果をTanaka & Ohzawa(J.Neuroscience,2006)に発表した。
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