2006 Fiscal Year Annual Research Report
海馬スライス培養を用いた神経ネットワークの活動依存的な神経新生過程の解析
Project/Area Number |
18021002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石塚 徹 東北大学, 大学院生命科学研究科, 講師 (10344714)
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Keywords | 神経新生 / 海馬 / 神経幹細胞 / 神経ネットワーク / 神経科学 |
Research Abstract |
海馬歯状回顆粒細胞層でのニューロン新生に,神経ネットワークの活動が影響を与えていることが示唆されているが,その作用は明らかになっていない。本研究では,細胞環境の操作が可能で,形態や機能の変化を長期間にわたって観察可能な海馬スライス培養と,レトロウイルスを用いた前駆細胞の標識・遺伝子導入法を用いて,活動に依存したニューロン新生過程の解析を試みる。 本年度は遺伝子導入により前駆細胞の活動を操作するための機能分子の作製に取り組んだ。細胞の活動を高めるために,緑藻類の光受容体チャネルchannelopsin-2(chop2)を用いた。chop2をニューロンに発現させ,青色発光ダイオード光を照射すると,脱分極し活動電位を発生させることができた。また光パルスの繰り返し刺激に応答した活動電位を発生させることもできた。光刺激はchop2発現細胞のみに脱分極を引き起こし,活性化させることができた。一方,膜電位をK^+の平衡電位に保持させることで,その細胞の活動を抑制することができると考えられる。BHK細胞に内向き整流性K^+チャネルKir2.1を発現させると,その静止膜電位は正常細胞と比較して有意に深くなった。逆にKir2.1のドミナントネガティブ型を発現させると,その静止膜電位は有意に浅くなった。Kir2.1あるいはそのドミナントネガティブ変異型の強制発現により,その細胞の活動を周囲の組織の活動と分離して制御することが期待できた。さらに,活動制御下に細胞の運命を長期にわたって追跡していくためには,非侵襲的な方法で細胞の活動を計測する必要がある。活動の一つの指標として,細胞内Ca^<2+>濃度の光学計測を可能にするために,chop2やKir2.1といった活動制御分子とCa^<2+>センサーとの融合タンパク質を作製し,発現細胞の活動変化のモニターに最適なコンストラクトの作製を行っている。
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