2006 Fiscal Year Annual Research Report
樹状突起スパインへの選択的蛋白集積メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
18021004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
白尾 智明 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20171043)
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Keywords | 樹状突起スパイン形成 / ドレブリン / アクチン細胞骨格 / NMDA型受容体 / ホメオスタティックシナプス可塑性 |
Research Abstract |
我々は神経回路の接合点であるシナプス機能の特殊性に着目して神経回路機能の発達を研究している。シナプス機能おいて重要な役割を果たしている樹状突起スパインは、樹状突起シャフトからの小さな突起物であるが、樹状突起シャフトとは著しく異なった蛋白構成を有している。これらの蛋白が、どのようなメカニズムでシャフトからスパインへ選択的に運ばれているのかがわかれば、神経回路機能の解明に非常に役立つと考えられる。我々は昨年度までの研究で、ドレブリンの結合により特殊化されたアクチン細胞骨格は、PSD-95の集積(J.Neurosci.2003)やNMDA型受容体のシナプティックターゲッティング(J.Neurochem.2006)にとって、重要な役割を担っていることを示してきた。今年度は、このドレブリンがどのようなメカニズムでスパインに集積するのかをシナプス活動に着目して解析した。バンカ-法を用いて海馬神経細胞の低密度初代培養系を作成した。まず、培養後14〜21日においては高頻度に自発発火が電気生理学的に記録されることを電気生理学的に確認した。つぎに、TTX処理によりシナプス活動を長期間阻害したところ、シナプス形成そのものは阻害されないが、ドレブリンの集積およびスパイン形成が阻害されることがわかった。さらに、AMPA型受容体活性の阻害はドレブリンの集積を抑制するが、NMDA型受容体の阻害は抑制を起こさないことがわかった。興味深いことに、PSD-95の集積はどちらの場合でも抑制された。次に、FRAP解析を行い、これらの変化は、ドレブリンのターンオーバーがAMPA型およびNMDA型受容体特異的に制御されているためであることがわかった。以上より、下記の過程を経て成熟スパインが形成されてくることが示唆された。
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