2006 Fiscal Year Annual Research Report
水平眼球運動の速度-位置変換に関与する神経回路機構の解明
Project/Area Number |
18021005
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齋藤 康彦 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70290913)
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Keywords | 舌下神経前位核 / 神経積分器 / 膜特性 / 眼球運動 / 神経回路 / パッチクランプ / RT-PCR / スライス |
Research Abstract |
外眼筋運動ニューロンは眼球位置に対応した活動を示すが、眼球運動を発現させる傍正中橋網様体や前庭神経核などの脳幹ニューロンは眼球速度に対応した活動を示す。よって、脳幹ニューロンから外眼筋運動ニューロンへ信号が伝播する間に、速度信号を位置信号に変換する機構(神経積分器)が必要となる。これまで、水平眼球運動における速度-位置変換機構を担っているのが舌下神経前位核(NPH)や前庭神経核内側核(MVN)の吻側部であることが示唆されている。本研究では、この速度-位置変換過程にNPHやMVNのどのようなニューロン、神経回路機構が関与しているのかを明らかにすることを目的とする。本年度は、PHNニューロンの膜特性、さらには膜特性と発現する神経伝達物質関連マーカーとの関連を調べ、PHNを構成するニューロン群の特徴づけを行った。生後約3週齢のラットから脳幹スライス標本を作製し、PHNニューロンからホールセル記録をおこない、スパイク後過分極(AHP)、脱分極性通電によって生じる発火パターン、過分極性通電によって生じる過分極応答の3種類の膜特性を解析した。その後、細胞質を吸引し、RT-PCR法によってニューロンに発現している神経伝達物質関連マーカーのmRNAの解析を行った。その結果、グルタミン酸作動性ニューロンとGABA作動性ニューロンともにさまざまな膜特性をもつheterogeneousなニューロン群により構成されていた。しかし、一方で、それぞれのニューロンに特徴的な膜特性も見いだされ、一相性のAHP、スパイクの発生が遅れるタイプの発火パターンを示すニューロンのほとんどがGABA作動性ニコ-一ロンであり、スパイク頻度が低いタイプの発火パターンを示すニューロンの大多数はグルタミン酸作動性ニューロンであった。今後は、今回得られた知見をもとに、PHNにおける局所神経回路網や入出力特性を調べることで、速度一位置変換を担っている神経基盤を明らかにすることを目標にする。
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