2006 Fiscal Year Annual Research Report
高等哺乳動物フェレットを用いた視覚神経系形成の分子基盤解析
Project/Area Number |
18021007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河崎 洋志 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (50303904)
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Keywords | 脳神経 / 視覚神経 / 分子機構 / 神経発生 |
Research Abstract |
高等哺乳動物の視覚系神経回路では、M細胞系、P細胞系、on細胞系やoff細胞系などの多彩な反応特性を持つ神経細胞群が、カラム構造や層構造などの高次立体構造を形成しており、これらの機能分化と立体構造は効率良い視覚情報処理に重要であると考えられている。我々は、この神経細胞多様性と立体構造の形成過程の分子メカニズムに興味を持ち研究を進めている。我々はこれまでに、視覚情報の中継核である外側膝状体(LGN)を用いて、M細胞への分化過程に注目して解析を進めてきた。その結果、LGNにおけるM細胞への分化には、視覚入力や自発網膜神経活動は必要ではないことを見出している。次の問題点として、LGNへは網膜以外にも大脳皮質視覚野や脳幹部からの入力も存在していることから、その入力が運命決定に重要である可能性の検討が挙げられる。そこでこの問題点にアプローチするために、本年度は、LGNのスライス培養系を立ち上げてきた。ビブラトームを用いてLGN切片培養を行い、我々が見出したマーカー遺伝子の発現を手がかりにM細胞系への分化を検討している。現在は特に、培養条件の検討、各種阻害剤の効果を検討している。M細胞系への分化が見られる培養条件を見出すことができれば、その結果は、LGNにおけるM細胞系への分化は、LGN以外からの神経入力は不必要であり、LGN自律的な遺伝子プログラムにより規定されていることを示唆してこととなる。
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