2006 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類脳幹神経回路網の機能形成過程の光学的解析:広範囲脱分極波による機能発生制御
Project/Area Number |
18021010
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 勝重 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (80291342)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 容子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (70251501)
|
Keywords | depolarization wave / 光学計測 / 膜電位感受性色素 / ラット胚 / gap junction / 脳幹 / 中枢神経系 / 神経回路網 |
Research Abstract |
脳幹は、生命活動に関わる多くの情報が直接入・出力し、処理・統合される重要な領域である。脳幹では、末梢からの情報の伝達回路と、脳幹に内在する自発興奮の伝達回路とが混在しており、これらは互いに影響をおよぼし合いながら機能的に形成・調節されていることが推察される。中枢神経系では、発生過程において、シナプス結合はいったん過形成され、後にrefinementされることが知られているが、この過程に自発興奮が重要な役割を果たしていることが示唆されており、脳幹内神経回路網の機能形成過程を明らかにすることは、中枢神経系における神経回路網形成の基本原理を明らかにすることにつながると考えられる。我々は、脳幹の機能的構築・形成過程を明らかにする目的で、膜電位の光学的イメージング法を鶏胚に適用し、脳神経刺激に対する脳幹内での応答のマッピングを行い、一時中継核や二次中継核を同定し、それらのdevelopmentalな機能形成過程を明らかにしてきた。一方その研究過程で、脳神経・脊髄神経を介した外来性入力、あるいは中枢神経系内に内在する自発興奮活動によって、大脳から脊髄にいたる中枢神経系のほぼ全領域にわたって広範に伝播する脱分極波(depolarization wave)が誘発され、それに引き続き、Ca waveが引き起こされることを見いだした。この脱分極波は、脳幹において神経核内のシナプス伝達が開始され、神経回路網が成熟していく時期に一致して特異的に出現することから、脳幹回路網形成に重要な役割を果たしていると考えられる。さらに、この脱分極波は、鶏胚に限ってみられる現象ではなく、ラット胚やマウス胚においても観察されることが明らかとなって、その機能解明に遺伝子改変動物が使えるなど、これからまさに新しい展開を迎えるに至っている。 本研究では哺乳類を主な実験対象として、光学的イメージング法とelectroporationによるin uterogene expression法および遺伝子改変動物を用い、(1)脳幹神経回路網の形成の時空間的ダイナミズムと(2)脱分極波の神経回路網形成における役割について解析した。その結果、depolarizafion waveのラット胚中枢神経系における出現パターンに関して明らかにすることとともに、自発性に起こるdepolarization waveの起源について、発生段階にしたがって変化することが明らかとなった。
|
Research Products
(8 results)