2006 Fiscal Year Annual Research Report
自発的グルタミン酸放出のシナプス形成・成熟・伝達効率への寄与の解明
Project/Area Number |
18021011
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高森 茂雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, COE拠点形成特任講師 (10397002)
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Keywords | 小胞型グルタミン酸トランスポーター / VGLUT / シナプス可塑性 / 遺伝子改変マウス / シナプス小胞 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
グルタミン酸は、哺乳類中枢神経系において、主要な興奮性神経伝達物質として働き、感覚・認知・記憶・学習といった脳機能の根幹を支える。ニューロンがグルタミン酸を放出する為には、「小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT)」の存在が必要不可欠である。興味深いことに、海馬培養ニューロンを用いた実験では、VGLUTの発現量の変化に伴い、ニューロンからのグルタミン酸放出が変化することから、VGLUT発現変化がシナプス可塑性の素過程の一つである可能性が考えられた。本研究では、脳部位特異的なVGLUT過剰発現マウスの作成とその形態機能解析を通じて、生体内でのVGLUT発現の増加が、シナプス形成・シナプス伝達および脳高次機能に及ぼす影響を解明する。 【研究成果】[1]VGLUT1過剰発現Tgマウスの作製:LacZ-stopコドン配列の両側にloxPを配し、その下流にmyc-VGLUT1-IRES-EGFPを挿入したTgベクターをマウス受精卵に導入し、目的のTgマウス系統を3つ得ることに成功した。このTgマウス系統は、脳部位特異的にCreリコンビナーゼを発現するTgマウスと交配させることにより、Cre発現細胞でのみVGLUT1の過剰発現を誘起できる。VGLUT1-Tgマウスと、2種類のCreマウス(Cre-Emx1,Cre-Syn)を交配させ産仔を得た。[2]シナプス小胞レベルでのVGLUTタンパク質の定量:ラット脳から高度に精製したシナプス小胞画分を材料として、タンパク質定量と蛍光相関光度計による粒子数測定を組み合わせることにより、1シナプス小胞上に存在するVGLUTタンパク質の個数を推定したところ、VGLUT1とVGLUT2は、全体の約60%、20%のシナプス小胞に存在し、1小胞上に10-15個存在することが分かった(Takamori et al.Cel誌)。
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