2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質における層特異的な細胞分化・神経回路形成を担う分子機構に関する研究
Project/Area Number |
18021021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Keywords | 大脳 / 視床 / 軸索 / 層構造 / Ephrin / Eph受容体 / 組織培養 |
Research Abstract |
大脳皮質の層構造に基づく神経回路は哺乳類を通して共通な側面を有し、脳形成の原理を内包している。中でも視床皮質投射はその結合様式や発生過程の知見が豊富で、層特異的な回路形成の分子機構を解明する上で有用な系である。これまでの研究から、視床軸索が主たる標的である第4層に投射する機構として、標的層を含む上層に軸索伸長を抑制する要因のあることが示されている。しかしながら、その分子機構については不明である。この問題を解明するために、層特異的に発現する遺伝子の探索を行い、皮質内で視床軸索の成長を制御し得る候補因子として、軸索反発因子として知られるセマホリンファミリーの一つSemaphorin-7a(Sema7a)やSema3A、接着分子であるCadherin6(Cad6)、あるいはKit ligand(KL)、Ephrin-A5が挙げられた。まず、これらのタンパク質の機能を知るために、それぞれのタンパク質を塗布した培養皿上で分散培養した視床細胞の軸索の長さを定量的に計測した。これらの内、Sema7a、KL、Ephrin-A5は濃度依存的な突起伸長活性を示した。次に、これらタンパク質の空間的な配置を模倣し、視床軸索の成長をin vitroでシミュレートすることにより、層特異的な視床皮質投射の形成機構を明らかにすることを目指した。その結果、Ephrin-A5は深層の成長活性を追加した後では、軸索伸長というよりは抑制活性を有すること、並びに、その抑制活性はin vivoで共発現するSema7a、KLによって増強されることが判明した。以上の結果は、特徴的な視床皮質投射が、層特異的に発現する複数分子の空間的な発現様式によって制御されていることを示唆している。
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Research Products
(2 results)