2006 Fiscal Year Annual Research Report
視床-皮質シナプス伝達のスパイクタイミングとアセチルコリンによる制御
Project/Area Number |
18021022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 文隆 Osaka University, 医学系研究科, 助教授 (00202044)
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Keywords | バレル皮質 / スパイクタイミング / ニコチニック受容体 / STDP / 抑制性細胞 / 視床-皮質シナプス伝達 / 視床皮質潜時 / 伝導速度 |
Research Abstract |
マウス体性感覚野から視床-皮質問の線維連絡を維持した切片標本を作製し、皮質4層よりGABA細胞を含む複数の細胞(2〜4個)から同時にホールセル記録を行った。マウスは細胞の同定を容易にするためにGAD-67 GFP Knock-Inマウスを用いた。視床に刺激電極を置き、視床刺激によるシナプス反応を皮質細胞に起こし、ニコチニック受容体作動薬の効果を検討した。その結果、ニコチンによってEPSCの増強が見られる細胞の割合は抑制性細胞において有意に高かった。また、この傾向は生後2週以前で特に強かった。同時に、視床刺激による潜時を見ると、抑制性細胞は興奮性細胞よりも短かった。これは、4層のバレル内での細胞の位置に依存せず、視床線維の伝導速度の差によることが明らかとなった。4層-2/3層間では生後2週以降に入力依存性の可塑性が見られるが、この可塑性はスパイクタイミングに依存することが知られている。4層-2/3層問のスパイクタイミングを制御するためには、各層に時間的に限局した抑制を加えることが必要であるが、抑制性細胞の潜時が興奮性細胞の潜時より早いことは、このような層特異的、時間特異的な抑制を与えるために必要であることがわかった。さらに、抑制性細胞と興奮性細胞への視床潜時の差が生後2週以降に見られることから、潜時差を生み出すメカニズムはスパイクタイミング依存性可塑性を開始する重要なメカニズムであることが示唆された。
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