2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛における細胞間接着因子L1-CAMの役割
Project/Area Number |
18021037
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 博樹 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20340995)
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Keywords | 痛み / 接着因子 / 脊髄 / 後根神経節 / 可塑性 / L1-CAM |
Research Abstract |
末梢神経損傷において発現の変化を示す細胞接着因子の大規模なスクリーニングを行い、大きな動きを示したL1-CAMに関して、以下の実験を進めて、European Journal of Neuroscienceに発表した。 1.ラットを用いた炎症モデルや末梢神経損傷モデルを用いてL1-CAMの発現を免疫組織化学によって検討した。その結果、末梢神経損傷モデルの損傷を受けた後根神経節ニューロンの細部膜上で免疫陽性が上昇していること、また脊髄後角においてはシナプスにおいてL1-CAM陽性が増加していた。 2.上記L1-CAMタンパクの変化がL1-CAM mRNAの変化によるものかどうかをin situ hybridizationによって検討した。その結果、L1-CAMの免疫陽性の変化は転写活性の変化ではなく、タンパクの局在・輸送の変化であることが解った。 3.1で確認したL1-CAMの後根神経節ニューロンでの局在変化が損傷神経のマーカーであるActivated transcription factor 3(ATF3)と共存を示していることを確認し、L1-CAMの変化が損傷ニューロンにおいて特異的であることを確認した。また、脊髄後角のL1-CAM陽性シナプスはGrowth associate protein 43(GAP43)と共存を示しており、損傷神経の終末でL1-CAMが増加していた。 4.L1-CAMの抗体をニューロパチックペインモデルである末梢神経障害モデルに投与すると、痛覚過敏を抑制することを明らかにした。熱性痛覚過敏及び機械的刺激に対する過敏性の両方に対して、効果を示した。 以上の結果により、末梢神経障害による接着因子L1-CAMの変化が、脊髄後角及び一次知覚ニューロンの可塑的変化を引き起こし、その結果痛覚過敏へとつながる、という新規メカニズムを解明した。
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Research Products
(12 results)