2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた体性感覚野神経回路成熟の研究
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18021041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩里 琢治 独立行政法人理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, 副チームリーダー (00311332)
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Keywords | 神経科学 / 分子生物学 / 発生工学 / ノックアウトマウス / 大脳皮質 / バレル / 体性感覚系 / 可塑性 |
Research Abstract |
バレルは、げっ歯類の大脳皮質体性感覚野の第4層に存在する特徴的な組織学的構造であり、その形成は、活動依存的な神経回路発達のモデルとして長年注目されている。しかし、分子レベルの機構の理解は、有効な方法論がなかったためあまり進んでいない。私達はこれまでの研究で、マウス発生工学が、この目的のために有効であることを示してきた。本研究では、新しい領域特異的遺伝子ノックアウト法の開発とともに、それを用いてバレル形成分子機構を解明することを目的としてきた。現在、特に着目しているのはアデニル酸シクラーゼ(AC1)の役割であり、大脳皮質興奮性神経細胞のAC1ではなく、視床-皮質シナプスのプレ側にあるAC1が、バレル形成に重要であることを示唆するデータを得ている。この機構をさらに詳細に解析するために、BACトランスジェニックマウスを用いて、視床特異的に標的遺伝子をノックアウトするためのCreマウスの作製を試みてきたが、レポーターマウスを用いた解析から、目的のCreマウスが得られたことが示唆された。さらに抑制性神経細胞特異的に遺伝子をノックアウトするためのCreマウスの作製も行ってきたが、こちらも目的のものが手に入ったように思われる。現在、Cre組換えの特異性をさらに詳細に解析しているところである。また、大脳皮質特異的AC1ノックアウト、および、大脳皮質と視床でAC1がノックアウトされたマウスでの、単一視床-皮質軸索の形態解析を行うことにより、視床-皮質軸索終末に分布するAC1だけでなく、ポスト側のAC1も、視床-皮質軸索の広がりに重要な働きをすることを示唆するデータを得ている。
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