2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18022003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小椋 利彦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60273851)
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Keywords | Daam1 / Sno / 細胞移動 / シグナル伝達 / 遺伝子発現 / non-canonical Wnt / miRNA / Irx |
Research Abstract |
Iroquois型の転写因子、Strawberry Notch(Sno)、Daam(Dishevelled-Associated Activator of Morphogenesis)の機能解析を中心に行なう。 Snoはハエ、線虫、マウスにおいても高度に保存された遺伝子である。ハエの遺伝学的解析から、Notchのシグナル伝達経路で働くと考えられており、N末端側にDEAD box、C末端側にHelicase-Cドメインをする核蛋白である。また、Suppressor of Hairlessとの協調作用が示唆されている。これまで、ニワトリとマウスのSnoホモログ(Sno1 & Sno2)を単離して解析した。この両者でNotch1は神経幹細胞が存在する中心管側に、Sno1は分化した神経細胞が存在する外側に発現する。エレクトロポレーション法を用いて、ニワトリ胚神経管への変異型Snoの導入を行ったところ、分化した神経細胞が存在する領域で、神経幹細胞マーカーの異所的発現が認められた。ゼブラフィッシュ胚で遺伝子機能阻害でも、Deltaの発現低下が頭部において認められ、脳の形態異常も認められた。分化した神経細胞にGFPを発現するHuC-GFPトランスジェニックフィッシュでも、GFP陽性細胞群の減少が認められた。これらは、Snoが神経細胞の分化に関与していることを示している。本年度には、この遺伝子のノックアウトマウスが作出できた。現在、nestin-Creとかけ合わせて神経幹細胞で遺伝子破壊を行ない、その表現形を解析中である。 また、Daam1の機能阻害をゼブラフィッシュで行ない、non-canonical Wntシグナルのもと、EphB分子のedocytosisによる細胞接着の解除とアクチン骨格のリモデリング制御が中心機能として見えてきた。この知見は、神経細胞にも発現するDaam1が、神経細胞の移動、軸索伸長にも関与していることを示唆している。事実、Daam1の機能改変でRostral Migration Streamが劇的に変化する。本年度は、機能阻害実験を行なうため、ノックアウトマウスを作出し、前述のNestin-Creとのかけ合わせを行ない、中枢神経形での表現形を解析中である。 加えて、miRNAの解析を行なうための基礎実験を行なった。これまでの解析からIrx2の下流でmiRNAは働き、Pax2のタンパク合成を阻害していることを示唆するデータが蓄積している。標的となるmiRNAの候補は既に同定済みであり、この候補miRNAの発現パターンを知るために、LNAオリゴを使ったWhole mount in situ hybridization法を確立した。本年度は、マウスとゼブラフィッシュで実験を行なうことが可能となった他、miRNAの機能阻害実験にも成功した。
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