2006 Fiscal Year Annual Research Report
小脳特異的分子欠損マウスを用いた学習メカニズム多重性とその制御機構の解明
Project/Area Number |
18022012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川原 茂敬 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助教授 (10204752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐野 豊 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (10012668)
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Keywords | 神経科学 / 行動学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
1.GluRδ2欠損マウスにおける小脳依存性の検討 小脳皮質の重篤な機能障害を持つGluRδ2欠損マウスは海馬依存的に短トレース課題(トレース時間が短いトレース課題)を学習することを既に明らかにしているが、本年度は小脳依存性について検討した。GluRδ2欠損マウスに短トレース課題を学習させた後、両側の小脳を吸引破壊した。2週間の回復期間後に再び条件付けを行い、記憶保持の程度と再学習能力を調べたところ、再条件付け開始1日目の記憶が大きく障害されていた。しかしながら、その後、次第に条件応答を再獲得した。この結果は、小脳皮質に異常があるGluRδ2欠損マウスにおいても小脳に依存して学習が行われることを示唆した。 2.野生型マウスにおける小脳依存性の検討 前年度に引き続き、野生型マウスにおける瞬目反射条件付けの小脳依存性を、海馬依存性の長トレース課題を用いて検討した。上記同様に、長トレース課題で条件付けた後に両側の小脳を吸引除去し、2週間の回復期間を経て再条件付けを行った。その結果、遅延課題の場合と同様に、記憶保持に重大な障害が見られたが、条件付けを繰り返すことにより再び条件応答を獲得した。この結果は、長トレース課題においても通常は小脳に依存して記憶が獲得されるが、小脳がない場合にも他の補償的メカニズムにより学習が可能であることを示唆した。 3.マウス頭部固定下における条件付け法の開発 学習中のミュータントマウスから海馬神経活動を安定に記録するために、マウスの頭部を固定して条件づける方法を検討した。マウス頭部に固定用金属管をネジと歯科用セメントで固定し、回転かごの中でマウスが比較的自由に走れる状態で条件付けを行うことにより、遅延課題が可能であることを見出した。この方法により、条件応答の直接的モニターとして、まぶたの動きをビデオカメラにより測定・解析することも可能になった。
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Research Products
(3 results)