2006 Fiscal Year Annual Research Report
Src及びCblファミリーによるチロシンリン酸化シグナルの正負の制御と脳高次機能
Project/Area Number |
18022013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手塚 徹 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50312319)
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Keywords | 脳・神経 / 蛋白質リン酸化 / 遺伝子 / ユビキチン化 |
Research Abstract |
(1)NR2Bの最も著明なリン酸化残基であるTyr-1472をフェニルアラニンに改変したマウス(NR2BY1472Fマウス)では扁桃体に依存するAuditory fear conditioningの能力が低下し、視床-扁桃体経路におけるLTPも減弱していることを論文発表した。次にElevated Plus Mazeテストにより解析したところ、NR2B Y1472FマウスではOpen Armでの滞在時間が減少していた。NR2B Y1472Fマウスでは扁桃体におけるCRF mRNAレベルが上昇していた。CRF受容体アンタゴニストであるNBI27914の投与により、NR2B Y1472FマウスのOpen Armでの滞在時間はコントロールレベルに回復した。以上より、Tyr-1472のリン酸化状態はCRF mRNAの発現制御を通じて、不安・恐怖を制御していると考えている。(2)NR2Aの最も主要なリン酸化残基をTyr-1325と同定した。293細胞に再構成したチャネルに対するSrcの効果をwhole-cell recordingにより検討した。その結果、野生型NR1/NR2AチャネルがSrcにより増強されたのに対し、NR1/NR2A Y1325FチャネルではSrcによる増強が見られなかった。以上より、NR2A Tyr-1325のリン酸化状態はNMDA受容体のチャネル活性を昂進させ、シナプス可塑性に寄与することが示唆された。(3)Cbl-b欠損マウスの行動解析を行った。Open field test, Elevated plus maze test, Rotarod, Water maze test, Fear conditioningの行動実験を行ったが、用いた実験条件下ではCbl-b欠損マウスに有意な表現型は認められなかった。
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