2007 Fiscal Year Annual Research Report
Src及びCblファミリーによるチロシンリン酸化シグナルの正負の制御と脳高次機能
Project/Area Number |
18022013
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
手塚 徹 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 特任講師 (50312319)
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Keywords | チロシンリン酸化 / NMDA受容体 / Src / Cbl |
Research Abstract |
Src型キナーゼとCblファミリーは広範なチロシンリン酸化シグナルをそれぞれ正及び負に制御する。本研究ではこれらの分子群を起点として、脳高次機能におけるチロシンリン酸化シグナルの役割をより明らかにすることを目指した。(1)脳高次機能発現におけるSrc型キナーゼの基質として、NMDA受容体NR2Aサブユニットに注目し、その最も著明にリン酸化されるチロシン残基をフェニルアラニンに改変したマウスを樹立した。行動解析の結果、この改変マウスでは強制水泳テスト及び尾懸垂テストにおいて、無動時間が短縮していた。従って、Src型キナーゼによるNR2A性のリン酸化は強制ストレスに対する抵抗性を制御すると考えられた。(2)NMDA受容体NR2B結合分子として同定したp250GAPの解析を進めた。私達は、p250GAP及びこれに最も相同性が高いTCGAPがSrc型キナーゼFynと結合すること、TCGAPはFynによりリン酸化されるとそのRhoGAP活性が抑制されることを見いだしており、これらのRhoGAPがSrc型キナーゼを介するシグナル伝達系にも寄与すると考えている。成熟海馬神経細胞に対し、レンチウィルス発現系を用いてp250GAPの発現を抑制した結果、スパインの幅が増大した。更に検討した結果、p250GAPはNMDA受容体近傍におけるRhoAの活性を普段は抑制することにより、スパインのアクチン細胞骨格を制御すると考えられた。(3)cb1-b mRNAは脳では特に海馬歯状回と小脳顆粒細胞層に発現が高かった。Cb1-b欠損マウスの行動解析を進め、Open fieldテスト,Water mazeテスト等を行ったが、用いた実験条件下ではCb1-b欠損マウスに有意な表現型は認められなかった。更に他の行動実験を行い、Cbl-bの脳機能における役割を検討している。
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Research Products
(12 results)