2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18022018
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50303847)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
|
Keywords | シグナル伝達 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 脳・神経 |
Research Abstract |
セマフォリンは代表的な神経軸索ガイダンス分子であり、その特異的な受容体、Plexinに結合し、様々な神経軸索に対し反発作用を示す。我々はこれまでに、Semaphorin 4D(Sema4D)受容体のPlexin-B1が低分子量G蛋白質の1つR-Rasに対するGAP活性を有し、その活性が海馬の神経細胞におけるSema4Dによる軸索の成長円錐の崩壊に必須であることを報告している。今回はPlexin-B1によるR-Ras GAP活性のさらなる下流の情報伝達経路について検討を行った。その結果、Sema4D刺激によるPlexin-B1のR-Ras GAP活性の下流でPI3kinase及びAktの不活性化、並びにGSK-3βの活性化が引き起こされることを見出した。またこの経路がCRMP2のリン酸化、さらには軸索の成長円錐の崩壊に関与していることを明らかにした。今回明らかになった経路はSema3A/Plexin-A1の系においても共通に起こっているメカニズムであった。以上の結果から、PlexinによるR-Ras GAP活性が引き起こすPI3kinase、Aktの不活性化、及びGSK-3βの活性化はPlexinの機能において重要な役割を担っていると考えられる。一方我々は、これまでの報告によるR-Rasがインテグリンの活性化を引き起こすことに着目し、Plexin-B1が活性化されるとR-Rasの活性を抑制することでインテグリンの活性化を制御している可能性を検討した。その結果、ファイブロネクチン刺激によるβ1インテグリンの活性化がSema4D刺激によるPlexin-B1のR-Ras GAP活性により抑制され、それに伴ってインテグリンの活性化により引き起こされる細胞内シグナルが抑制されることを見出した。以上の結果からインテグリンの活性制御にR-RasとPlbxin-B1が関与しており、Sema4D/Plexin-B1による成長円錐崩壊のメカニズムにおいて、Plexin-B1のR-Ras GAP活性によるβ1インテグリンの活性制御が重要な役割を担っていると考えられる。
|
-
-
-
-
[Journal Article] Sema4D/plexin-B1 activates GSK-3beta through R-Ras GAP activity, inducing growth cone collapse.2006
Author(s)
Ito, Y., Oinuma, I., Katoh, H., Kaibuchi, K., Negishi, M.
-
Journal Title
EMBO Reports 7
Pages: 704-709
-
-