2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳・網膜の発生分化に関与するG蛋白質共役型受容体システムの機能解明
Project/Area Number |
18022029
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大内 淑代 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教授 (00253229)
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Keywords | 脳神経系 / autotaxin / G蛋白質共役型受容体 / GPCR / 発生分化 / 脂質 / スフィンゴシン1リン酸 / リゾホスファチジン酸 |
Research Abstract |
脳や感覚器の機能において重要な役割を担っているのは,G-protein coupled receptor(GPCR)に属する7回膜貫通型受容体を介するシグナル伝達である。GPCRは線虫からヒトまで存在する最も大きな受容体ファミリーであり,約800個のGPCR遺伝子がヒトゲノムにコードされている。しかし,約150個のGPCRが未だリガンドの不明なオーファン受容体であり脳神経系の発生分化におけるその役割についてはまだ未解明である。そこで本研究課題では,発生途上の脳・網膜において発現するGPCRについてその発現パターンを調べ,脳・網膜の発生分化における機能を明らかにすることを研究目的とした。 本年度は,マウスのゲノムプロジェクトから同定されたGPCRの中で,生理活性物質として近年注目されている「脂質」がリガンドと予想されるGPCRに着目した。なかでも,リゾリン脂質(アシル基が1つで細胞膜間を移動しやすい性質をもつ)であるスフィンゴシン1リン酸(S1P)受容体,リゾボスファチジン酸(LPA)受容体,LPA/S1Pの合成酵素リゾホスホリパーゼD(autotaxin : ATX)のマウス胚における遺伝子発現パターンを解析した。これらの遺伝子のうち,ATXおよびATXとの関連性が示唆されたLPA/S1P受容体についてはニワトリホモログを単離して,ニワトリ胚におけるその発現パターンをマウス胚における発現様式と比較した。その結果,ATX遺伝子は哺乳類と鳥類の脳神経系の発生過程で,発現様式が異なることがわかった(Ohuchi et al.,2007)。さらにニワトリ胚を用いたATX機能喪失実験を行うためにニワトリ胚卵内電気穿孔法によるRNA干渉法を試みたところ,神経管および間脳においてATX遺伝子の発現をノックダウンすることに成功した。
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Research Products
(4 results)