2006 Fiscal Year Annual Research Report
後シナプス機能制御におけるリン酸化チロシンアダプターの役割
Project/Area Number |
18022032
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 望 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00130394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 陽子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (50311345)
秋野 公造 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (60284668)
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Keywords | リン酸化チロシンアダプター蛋白質 / N-Shc / 海馬 / 樹状突起スパイン / 細胞骨格制御 / Grit / Homer |
Research Abstract |
脳海馬における記憶学習成立の基礎メカニズムとして、グルタミン酸系神経の活性化応答におけるポストシナプスでのスパイン形態変化が知られている。本研究では、種々の受容体型チロシンキナーゼのシグナル応答に関わる神経特異的なホスホチロシンアダプターN-Shc/ShcCが、NMDA受容体刺激後のアクチン骨格再編へ寄与するメカニズムを、スパインモルフォゲンであるHomerとの機能連関の有無を含めて明らかにすることを目的としている。本年度は(1)樹状突起スパイン形成におけるN-Shcの役割、および(2)N-Shc-Grit複合体とHomerとの相互作用を検証する実験を行った。その結果は次のとおりである。(1)N-Shc下流のRhoシグナルカスケードを遮断するN-Shc変異体を初代培養系海馬神経細胞に形質導入するとスパイン数が有意に減少したが、その変異体に更にN-Shc下流のGrb2/Ras/MAP2シグナルカスケードを遮断する変異を誘導するとスパイン数に変化は現われなかった。したがって、N-Shcを介したアクチン骨格制御系シグナルと細胞増殖・分化シグナルカスケード間のクロストークによるスパイン形成支配が存在することが示唆された。また、N-Shc KOマウスの海馬組織におけるスパイン数のカウントも遂行し、現在統計解析中である。(2)ラット成獣海馬からPSD分画を調整し、Homer抗体およびGrit抗体による免疫沈降実験を行ったところ、両者ともにPSD分画に多く存在することを確認した。しかし、Homer-Gritの結合は検出されなかった。主な業績としては、成体の脳機能と老化におけるN-Shcの働き(森、2006)、およびHomerに関する総説(Shiraishi-Yamaguchi, 2007)をとりまとめた。
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